2018 年 2018 巻 28 号 p. 428-434
本研究では,スカウト教育法の効果測定の可能性を確認することを主眼とし,ボーイスカウトの年間活動のメインイベントである夏季キャンプについて,11都県のボーイスカウト124名(男子:101名,女子:23名)を調査対象として,①生きる力,②リーダーシップ,③自尊感情,それぞれの変化について,キャンプの事前事後での比較を行った.その結果,夏季キャンプへの参加により,①生きる力,生きる力を構成する「心理的社会的能力」,「心理的社会的能力」を構成する「積極性」「視野・判断」が,また,②リーダーシップ,リーダーシップを構成する課題遂行機能と集団維持機能が,そして,③自尊心のそれぞれが向上していた.これらから,ボーイスカウト教育の2大教育制度である「班制度」と「進歩制度」は,生きる力やリーダーシップを高めることに寄与していることが示唆された.