2018 年 2018 巻 28 号 p. 435-439
王太子グラン・ドーファン(ルイ14世の長男)が古典ラテン喜劇作家プラウトゥスとテレンティウスを読んでいたという事実に多くの研究者たちは驚きと不可解さを提示している.事実,「喜劇の父」であり「ラテン語日常会話の師」と称され評価されているにもかかわらず,古典ラテン喜劇作家の扱いは当時の教育機関によって異なっていた.本稿では,文学,芸術,演劇,建築等の様々な分野でのメセナとして君臨した「偉大なる世紀」17世紀フランスを統治したルイ14世の王太子教育において古典ラテン喜劇作家が重要な位置を占めていたことを調査確認した報告である.