2020 年 2020 巻 30 号 p. 349-352
我々人間にとってもっとも古くからの身近な伴侶動物と言えるイヌは,一緒にいることで心身の緊張を和らげ,人間のコミュニケーションを促進する社会的潤滑油としての役割を持つ.筆者らの研究は,近年の職場ストレスとメンタルヘルス対策を問題の所在として,職場内にイヌが介在することによるストレス軽減,メンタルヘルス向上の効果について検証することを目的として実施されてきた.具体的には,セラピー犬を職場に介在させるプログラムを作成し,職場内のコミュニケーション量の変化,人間関係の変化,社員個々人の心理的・身体的変化を検証するためのデータを収集し,犬介在の効果を検討した.本稿では,2018年度に実施された2つの研究成果について報告し,今後の課題について考察する.