東日本大震災にともなう福島第一原発事故の報道は,日本のマス・メディアにとって災害をどう報道するかの試金石となった.記者らのリスクを回避するため退避指示を出したことが,報道する使命との相克を生んだからである.本研究はそこから出発し,テロや内戦を含む危険地をだれがどう報道するのか,また国際機関やNGOと互いに学び合えるものはないのか,考察を試みた.これまでの研究で,日本のマス・メディアのDisaster Reportingが柔軟性に欠けるとの指摘が欧米メディア 幹部から出ていたが,本研究ではこうした見方が日本駐在の経験がある欧米ジャーナリストとマス・メディア組織の枠外に置かれる日本人フリーランス・ジャーナリストの聞き取りで検証を試みた.また,メディアにもまして危険地へ赴くことを余儀なくされる国際機関やNGOがどのように派遣を決め,安全策を講じているかの聞き取りから,マス・メディアとこうした機関が共同歩調を取ることが可能なのかを考察した.