2020 年 2020 巻 30 号 p. 852-859
社会構造の変化により,「社会的な居場所づくり」への関心が高まっている.とりわけ,家庭,職場・学校に次ぐ第三の場,いわゆるサードプレイスを持つことが重要視されているが,コロナ禍の外出自粛に代表されるように,様々な事情で,人々が直接集うことが出来ない場合がある.このような問題に対処するひとつの方策として,サイバー空間にサードプレイスを形成し,オンラインで交流する方法がある.そこで,本研究は,動画の生配信を行うコミュニティスタジオに注目し,サードプレイスとしての要件を持っているか検討した.
首都圏にあるスタジオCのFacebookページの内容分析および,スタジオでの参与観察により,スタジオCが,サードプレイスとしての8つの特徴を備えていること,スタジオにおけるオフラインの直接的なコミュニケーションと生配信を通じたオンラインのコミュニケーションとが重層的に機能しており,配信者にとっても,視聴者にとっても心地よい居場所になっていることが示唆された.