人間生活文化研究
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野菜に含まれる有機酸による昆布の軟化度合と軟化機構
山岸 あづみ青江 誠一郎
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2020 年 2020 巻 30 号 p. 943-951

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抄録

 本実験は野菜に含まれる有機酸による昆布の軟化および,軟化機構について明らかにすることを目的とした.野菜に含まれる有機酸としてシュウ酸,クエン酸,リンゴ酸,コハク酸,乳酸を用いた.昆布は10 mmol/Lの各有機酸溶液で煮沸した後,破断応力を測定した.各有機酸溶液中のウロン酸骨格を有する多糖類およびカルシウム(Ca)の測定を行った.その結果,シュウ酸溶液で煮沸した昆布は,他の有機酸溶液と煮沸した昆布に比べて有意に軟化した.昆布がもっとも軟化したシュウ酸溶液には,他の有機酸溶液に比べてウロン酸骨格を有する多糖類は多かったが,Caはコントロールと同程度であった.

 昆布の軟化とCa流出量との関係および,シュウ酸溶液で煮沸した時のCaの挙動について検証するため,濃度が異なるシュウ酸溶液とEDTA・2Na(EDTA)溶液を用いて確認実験を行った.その結果,EDTA溶液では濃度が濃くなるにつれてCaの流出量は増加したが,シュウ酸溶液では見られなかった.

 実験結果から,野菜中の有機酸による昆布の軟化度合の違いは,各有機酸の酸解離定数と溶液のpHが関係していることが推察された.また,有機酸溶液による昆布の軟化は,アルギン酸CaからのCaの離脱によって生じていることが明らかであった.シュウ酸溶液で煮沸すると昆布のCaはシュウ酸と塩を形成し,昆布に残存することが示唆された.

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© 2020 大妻女子大学人間生活文化研究所
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