2021 年 2021 巻 31 号 p. 10-13
【目的】ミトコンドリアはエネルギー代謝における主要な細胞内小器官であり,細胞の状態を積極的に制御していることが明らかになってきている.本研究では,白色脂肪細胞モデルである3T3-L1細胞を用いて,脂肪細胞の炎症性変化におけるミトコンドリアの役割を解明することを目的とした.【方法】3T3-L1細胞を脂肪細胞に分化させ,分化誘導後17日目に脱共役剤FCCPを2μMとなるように添加した培地に交換し,24時間培養した.培養した細胞のミトコンドリア,脂肪滴,核を蛍光染色して,共焦点レーザー顕微鏡で観察し,炎症性サイトカインのmRNAをリアルタイムPCR法を用いて定量した.【結果および考察】蛍光観察から,FCCPを添加した細胞でミトコンドリアが小さく分裂し,エネルギー代謝が抑制されていることが示された.ミトコンドリアは脂肪滴周辺から離れて細胞全体に分散して存在していた.炎症性サイトカインTNF-α,IL-6,MCP-1のmRNA発現量が有意に増加しており,ミトコンドリアATP合成の抑制によって脂肪細胞に炎症性変化が引き起こされることが示された.