2021 年 2021 巻 31 号 p. 14-23
現代日本語には「5時です」を「5時ッス」というように話す言葉づかいがある.これは若い男性が主として使用すると考えられ,親しい間柄にある目上の相手に「親しみのこもった敬意」を伝える新しいタイプの敬語と考えられてきた.しかしながら,この「ス」の使用が拡大するにつれ,その意味は拡大し,敬意よりも「ノリの良さ」や「軽さ」を示す一種の談話標識として機能しはじめている.
本稿ではこの2タイプの「ス」体をとりあげ,この2タイプがそれぞれ別の言語形式である可能性を指摘した後,これら2つの「ス」の語用論的意味を関連性理論の枠組みで考察する.