粘性のある難消化性多糖類5種(ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、グアガム、キサンタンガム)についてラット消化器官に対する影響と粘性の関係について検討した。実験には4週齢のSprague Dawley 系雄性ラットを用い、難消化性多糖類5%を含む飼料とセルロース5%飼料をコントロールとして24日間投与した。
実験1では上記6種の難消化性多糖類飼料を投与し、飼料投与中止後5時間目に解剖し、消化管重量、内容物の重量と粘度、糞重量を測定した。小腸、盲腸の内容物の粘度はキサンタンガム群が最も高く、グアガム群がもっとも低く、難消化性多糖類そのものの粘度とは相関しなかった。また、消化管重量、消化管内容物重量、糞便量にも粘度との関連性は見られなかった。
実験2ではセルロース、ジェランガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、キサンタンガムを含む飼料で飼育し、5時間絶食後を0時間として、飼料5gを投与して2時間後に解剖した群を2時間とした。2時間後の胃固形物量は最も粘度の高いキサンタンガム群が他の4群に対し、有意に低かった。
実験3ではセルロース、サイリウムシードガム、グアガムを含む飼料で飼育し、絶食後を0時間として、飼料5gの投与2、5時間後に解剖した。2時間後の胃固形物量は粘度の高いグアガム群が他の2群に比べて有意に低かった。しかし、グアガム群の胃内容物の高粘度は、小腸と盲腸では顕著に低下した。他方、サイリウムシードガム群では胃内容物の粘度は低かったが、盲腸ではグアガム群より高くなった。
以上の結果より、難消化性多糖類を飼料として投与すると、飼料や消化管内容物の粘度は本来の粘度とは異なることがあり、飼料成分や消化管内での物理化学的影響によって変化することが示唆された。また、従来高粘度の難消化性多糖類は胃から小腸への食物の移動を低下させることによって、血糖値低下などの機能が示されると考えられてきたが、本研究は再考が必要であることを示した。