2021 年 2021 巻 31 号 p. 461-470
本稿では『麻衣相法』の版本に関する 2 つの先行研究(梁偉賢「《麻衣相法》版本初探」『漢学研究』(34 号,2016)と三浦國雄『術数書の基礎的文献学的研究―主要術数文献解題 第三篇』平成21 年度〜平成 23 年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書,2012)を整理検討したうえで,中国では散逸したと思われる『人相編』が日本に伝存すること,そしてその内容は梁氏が指摘する中国で最も古い『麻衣相法』の版本(全 10 巻,万暦 15 年刊)の内容と類似することを指摘した.また,広く流布する 5 巻本『麻衣相法』に付された倪岳の序文に省略があることに注目し,その省略された内容を検討した.その結果,倪岳の序文は本来は『神相全編』に付されたものであり,5 巻本『麻衣相法』の倪岳序は,『麻衣相法』の内容にフィットするように部分的に削除された可能性を提起した.