2021 年 2021 巻 31 号 p. 68-99
記述力は,二つの側面から捉えることができる.一つは書き手の視点から文や文章を創出する能力である.もう一つは,書かれたテキストを理解し,それらを一定の条件下において記述する能力である.本研究で分析の対象とした全国学力・学習状況調査(本稿では以下,「全国学力調査」と称す.)は後者の能力を測るものである.
10年間にわたる全国学力調査から小学校国語科教育における記述力に関して4点の主要な課題が見出された.一つ目には,考えの形成につなぐ記述に課題がある.二つ目は,目的に応じた情報の取り出しによる記述に課題がある.三つ目として,非連続型テキストの確かな読解に基づく記述に課題がある.四つ目は,提示される条件に対応する記述に課題がある.こうした課題の所在を十分に精査し,改訂された学習指導要領の目標及び内容を踏まえた指導改善が必要である.