日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
総説
小児移植におけるreduced-intensity conditioning(RIC):移植関連晩期合併症軽減
清水 真理子佐藤 真穂
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2020 年 9 巻 2 号 p. 53-59

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抄録

 小児に対するreduced-intensity conditioning(RIC)は移植後急性期の治療関連合併症のみならず,晩期合併症の軽減の可能性についても期待されている。当院での小児の同種移植後フォローアップ例の検討では骨髄破壊的前処置(myeloablative conditioning,MAC)症例とRIC症例の晩期合併症の比較では,性腺機能障害はRIC群でMAC群よりも有意に少なく,成長障害に関しては統計学的有意差はないもののRIC群でMAC群よりも少ない傾向にあった。フォローアップ期間が短いものの,RICは晩期合併症軽減を期待できる前処置と考えられ,積極的に取り組むべき前処置法であると考えられた。移植晩期合併症に関して本人・家族へ十分な情報提供を行い,移植後は長期フォローアップにより移植経験者を支えることが重要である。そして,可能な限り機能温存に取り組むことが望まれる。

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© 2020 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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