日本語教育
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研究論文
動名詞の連体用法「VN ノ N」の使用実態と成立条件
―中国人日本語学習者の使用状況から―
石 立珣
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2021 年 179 巻 p. 77-92

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抄録

 「スル」を伴って動詞化する名詞は動名詞(VN)と呼ばれている。VN は連体修飾語になる際に,論理的には「VN ノ N」と「VN スル/シタ N」の二種の構造が取れるはずである。しかし,「後退{*の/する}経済」の例からも分かるように,常に二種の構造が取れるとは限らない。中国語は連体修飾の場合に名詞・動詞のどちらも,一括して“的”を用いるため,中国人学習者は「*後退の経済」のような誤用を生み出しやすい。本稿では,連体節構造の分類方法の一つを「VN ノ N」に適用し,「内の関係」(意味的な格関係が想定可能:*後退の経済)と「外の関係」(意味的な格関係が想定不可:離婚の話)に分類した。これにより,外の関係の「VN ノ N」は一般に成立可能であり,内の関係の「VN ノ N」は極めて特殊な場合を除き,成立不可であると判断でき,「VN ノ N」の成立可否において指針となる基準を得られた。

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