2001 年 10 巻 p. 115-127
教育相談を、言葉が演出する意味争奪と意味探索の場面と見立て、相談において交わされる問題言説の仕組みを解明してそれの変換を工夫することによって,教育の通常言説に差異を仕掛け教育に新しい意味を発見する役割を臨床知に与える、こうした立場を臨床教育学のものと論じた上で、新しい論点、すなわち、意味変換の技法をともなったこの臨床知を、教育を意味付ける語りに所在するレトリックの知と解釈できるのではないかという論を、教育相談の問題言説においてメタファーが演じる意味変換的で発見的な働を考察することを通して、さらにはレトリック論の今日的な展開、つまり言語学的「回転」に誘発された解釈学のそしてレトリック論の「回転」現象が教育研究に波及している状況に言及することによって、これらふたつの文脈から新しい論点の可能性を検討した。