2006 年 15 巻 p. 19-27
コメニウスは、汎知学研究の深化とともに形而上学への傾斜を強め、「事物そのもの」を志向していった。『世界図絵』と『遊戯学校』という二つのユニークなテクストは、いかなる意味で彼の哲学の教育的所産と見なすことができるだろうか。また、彼は、教授学研究の深化とともに多様な方法を案出したが、常にその一体性を強調した。その際、形式の異なった二つのテクストが描き出す世界は、いかなる意味で隔たっているといえるのか。そして、二つのテクストが歴史のなかでたどった運命は、活字の近代の強力さを示すものなのか。北詰氏の提案は、教育における身体と表象の考察が直面する問題群を示している。