人文地理学会大会 研究発表要旨
2006年 人文地理学会大会
セッションID: 407
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アジア太平洋戦争期における小牧実繁のプロパガンダ活動
*柴田 陽一
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抄録
京都帝国大学地理学教室関係者や陸軍の軍人で構成された綜合地理研究会(通称「吉田の会」)のリーダーであり,「日本地政学」の主唱者である小牧実繁が,アジア太平洋戦争期に展開したプロパガンダ活動を検討した。この活動は,同研究会の陸軍の作戦計画への関与とともに,「日本地政学」の実践的側面として位置づけられる。これまでの「日本地政学」の検討は,その理論的側面が科学的であるかの吟味に終始してきた。しかし,本発表では,「日本地政学」の知の性質を考慮すると,理論的側面の検討のみでは不十分であるとの考えから,「日本地政学」の実践的側面の一つであるプロパガンダ活動の検討を行った(同研究会の陸軍の作戦計画への関与については,2006年6月の第49回歴史地理学会大会で研究発表を行った)。まず,発表メディアや内容に注意し,プロパガンダ活動の時期区分を行った。次に,4つの特徴的なプロパガンダの内容を検討した。それをふまえ,プロパガンダ活動の思想的基盤,社会的影響を検討し,「日本地政学」という総力戦下における地理的知の性質を明らかにした。
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© 2006 人文地理学会
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