人文地理学会大会 研究発表要旨
2007年 人文地理学会大会
セッションID: 510
会議情報

第5会場
インドの工業化と農村住民の変化
―MP州C村の10年間の追跡調査―
*澤 宗則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

インドは1990年代以降の新経済政策以降、急激な経済成長を経験している。しかしその反面、貧富の格差の拡大や都市と農村間など多くの地域間格差が生じ、急進的なナショナリズムやコミュナリズムによる宗教対立、地域対立など、社会統合に大きな軋みを生じてきた。このように、経済的側面からみれば総体としてのインドは経済成長により経済状態が改善されたと評価できるかもしれないが、社会階層、地域により分節化すれば、その評価は多様なものとなる。従来より人文地理学的研究においては、地域差、地域格差には敏感であり続けた。農村研究においても、住民の多様性には配慮がなされてきた。しかしながら、それを研究者として評価する際には、工業化や都市化などの外的要因にうまく対応できているのかなど、経済的状況に基づき一面的に評価してきたのではないだろうか?伝統と近代が混在した開発途上国の農村において、経済的上昇のみが住民の唯一の価値基準であるのだろうか?そこには多様な主体による多様な価値基準が存在するのではないだろうか?そして、その多様性を研究者はどのように総括すればよいのだろうか?  本研究では、工業団地に近接し、工業化の影響を受けているインド農村において、工業団地開発が農村住民によりどのように評価されているのか、その多様性を明らかにしたい。事例農村は、MP(Madhya Pradesh)州のピータンプル工業成長センターに近接するC村であり、1996年に全世帯の調査を行った村である。2007年2月に第1回目の追跡調査を行い、1996年調査により抽出したサンプル世帯の10年間の変化を調査した。なお、2007年10月に第2回目の追跡調査(全世帯調査)を行う予定であり、発表当日は価値基準の多様性を含めその結果をあわせて発表する予定である。

著者関連情報
© 2007 人文地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top