抄録
神経回路機能の発現と調節においてニューロモジュレーションが重要な働きをもつことが知られる。 ニューロモジュレーションは特定のニューロンの膜特性やシナプス強度を持続的に変化させることで神経回路機能を調節したり, 回路そのものを再編成したりする。 軟体動物トリトニアの逃避遊泳回路において, セロトニン作動性ニューロンの活動後の時間経過に依存して他のニューロンのシナプス伝達が増強もしくは減衰することが明らかとなった。 本稿では時間経過とともに修飾効果が逆転する『タイミング依存性』のニューロモジュレーションの性質とそのメカニズムに関して, 近年著者らによって得られた知見を述べる。