植生史研究
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Print ISSN : 0915-003X
弥生~古墳時代集落における森林資源の管理と利用
樋上 昇
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2014 年 22 巻 2 号 p. 47-56

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抄録
本稿では弥生時代から古墳時代にかけて,長期間木製品生産をしていた遺跡において,どのように森林資源を管理しつつ利用していたのかを考察した。まず,森林資源のある丘陵付近で小規模な集落を点在させることにより環境に負荷を与えない集落群の存在を確認した。次に,大規模な木材伐採によって集落の移動を余儀なくされた例が存在することを確認した。そのうち一例は,集落そのものを木材資源のある,より標高の高い位置へと移すパターン,もう一例は,森林資源のある台地に沿って,一定期間ごとに集落を移動し,10 ~ 30 年でまた元の位置に戻ってくるものである。そして後者は,近世における木地師の移動パターンにきわめて近いことを確認した。弥生時代後期以降,人口増加と開墾により,特に近畿地方では森林資源の枯渇が著しくなり,木製品生産の場はより山奥へと移動していった。いわゆる「高地性集落」も,こういった木材伐採と加工のための小規模な集落であった可能性があり,これが後の時代の「杣」へとつながっていった。最後に,近畿地方や東海地方の沖積低地にある巨大集落では,かなり早い段階で,人為的に「雑木林」を造りだし,ここで日常材を獲得することによって集落を長期間維持することができたと考えた。
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© 2014 日本植生史学会

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