人と自然
Online ISSN : 2185-4513
Print ISSN : 0918-1725
ISSN-L : 0918-1725
埼玉県秩父盆地,尾田蒔丘陵のチバニアン期(中期更新世)テフラの 岩石記載的特徴とフィッション・トラック年代
ジャーナル フリー

2022 年 32 巻 p. 69-88

詳細
抄録
秩父盆地の尾田蒔面上に堆積するチバニアン期テフラ 群から17 層のテフラ試料を採取し,粒子組成・重鉱物 組成や直方輝石・角閃石類の斑晶鉱物の屈折率を分析し てテフラの対比を再検討した.最下位のOD1 テフラは, これまでの記載と異なる岩石記載的特徴を示したが,関 東地方西部のKap-5 テフラと対比可能であった.4 層 の黒雲母に富む細粒火山灰(OD6,OD9,OD11,お よびOD15)は大町APm テフラ群のA1Pm ~ A4Pm にそれぞれ対比されたが,八ヶ岳火山東麓のYt-hop テ フラに対比可能なテフラは見出せなかった.またOD2 では510 ± 160 ka の,OD6 では350 ± 70 ka およ び356 ± 29 ka の,ジルコン結晶を用いたフィッショ ン・トラック(FT)年代(誤差は各1 σ)を得た.さ らにこれまで同一の手法,機関で実施された全てのFT 年代を総合し,関東地方に分布するA1Pm の加重平均 FT 年代として375 ± 21 ka を求めた.これらOD2 やA1Pm(OD6)のFT 年代などから,尾田蒔面は約 500 ~ 600 ka に形成されたと推定される.
© 2022 兵庫県立人と自然の博物館
前の記事 次の記事
feedback
Top