The Horticulture Journal
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原著論文
八重咲きシクラメンにおける花器形態変異と AGAMOUS-like 遺伝子の発現
水ノ江 雄輝久保田 渉誠菅野 明尾崎 行生
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2015 年 84 巻 2 号 p. 140-147

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抄録

シクラメン(Cyclamen persicum Mill.)において,自然突然変異による複数の種類の八重咲き品種が作出されている.我々は八重咲きシクラメンの形態的特徴と器官数を調査し,“雄蕊弁化型”,“萼弁化型”および“whorl 2 における花弁増加型”の 3 タイプに分類した.形態観察の結果,雄蕊の弁化と萼の弁化とが同時に起こっている個体は認められなかった.次に,一重咲きおよび雄蕊弁化型八重咲きシクラメンの花芽から 3 種類の AG-like 遺伝子を単離し,それぞれの whorl における発現を比較した.一重咲きのwhorl 3 では,全ての AG-like 遺伝子が発現していたが,雄蕊弁化型の八重咲きでは 3 種類とも発現は認められなかった.whorl 4 では,一重咲きおよび八重咲き花の両方において 3 種類の AG-like 遺伝子の発現が認められたが,八重咲き花における発現量は一重咲き花よりも低かった.これらの結果は,自然発生の八重咲きシクラメンが ABC モデルによって説明できること,そして雄蕊の弁化は whorl 3 における AG-like 遺伝子の発現抑制に起因することを示唆する.

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