保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
原著
金沢城におけるモリアオガエルの個体群動態と保全への提言
戸田 光彦
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2013 年 18 巻 2 号 p. 131-140

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抄録

1984年から2012年までの29年間にわたり、石川県金沢市の金沢城においてモリアオガエルRhacophorus arboreus(Okadaet Kawano, 1924)の個体数及び生息環境の変化を継続的に調査した。個体数は1980年代から1990年代中頃までは増減が少なかったが、2000年頃に激減して、2005年頃から増加し、2010年頃からは再び高い生息密度を維持していた。1990年代後半の土地利用の変化に伴い、本種が繁殖する止水域は移り変わったが、どの年代においても複数の繁殖場所が存在していた。個体数変動の主たる要因は不明であるが、繁殖場所となる止水域の環境変化が関与していると推測された。本種の保全のためには、生息域内に複数の繁殖場所を確保することが最も重要であり、繁殖場所に捕食性の外来種を侵入させないこと、そして繁殖場所間の個体の移動を阻害しないこと等が重要であると考えられた。

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© 2013 一般社団法人 日本生態学会

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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