2016 年 21 巻 2 号 p. 237-241
2015年9月に国連で採択された2030アジェンダの持続可能な発展目標(SDGs)とターゲットには、生物多様性や生態系保全に関する国際目標が含まれている。本稿では、それらの内容について紹介するとともに、愛知ターゲットとの比較により特徴の一端を指摘する。生物多様性や生態系保全に関するターゲットは、農業、水と衛生、都市と人間居住、海洋・海洋資源、陸域生態系の5つのSDGsに含まれていた。特に、海洋・海洋資源(SDG14)と陸域生態系(SDG15)の目標には、それぞれ10個と12個の生物多様性や生態系保全に関するターゲットがあった。2030アジェンダのターゲットには、愛知ターゲットの目標と共通するものがあったが、独自のものとして、保護対象種の密猟及び違法取引の撲滅や山地生態系の保全、世界遺産の保護・保全などがあった。SDGs・ターゲットでは、生物多様性や生態系保全が、持続可能な発展にとって重要な目標の一つとして位置づけられていた。