Darwin Core/Darwin Core Archiveは、生物多様性情報を記述する国際的な標準データフォーマットである。しかし、これはもともと標本を記述することを目的に作成されたため、記述するデータの単位が基本的に個体の在データのみの形式となっており、在/不在データやトラップ調査によって得られる多種多数の個体データ等、生態学でしばしば用いられる形式に適合しにくいという欠点があった。この状況に対し、2015年、Darwin Coreの改良を担うBiodiversity Information Standards: BIS(Taxonomic Databases Working Group: TDWGともよばれる)より、Darwin Coreを生態学データに適合させる新形式「Sample-based Data: SB Data」が公表された。SB Dataは、様々な生態学データを標準化し、共有および横断利用を促進させる可能性があるデータ形式として、The Group on Earth Observations:GEO-BON等の国際生態系観測コミュニティにおいても期待されている。本稿は、Darwin Coreの基本的な情報ならびに、Darwin Coreの新しい形式であるSB Dataの解説を行うことで、日本における生物多様性データの共有、横断利用推進の一助にすることを目的とする。