論文ID: 2326
要旨:ニホンライチョウ(以降、ライチョウ)の分布北限に位置する火打山(新潟県)は、イネ科等植物が急速に繁茂したことによってライチョウの採食植物が衰退しているとされ、環境改善事業としてイネ科等植物除去の効果検証が実施されているが、火打山におけるライチョウの主要な採食植物はこれまで調査されたことがない。そのため、イネ科等植物除去による採食植物の回復、保全効果を検証するためには、火打山におけるライチョウの主要な採食植物を明らかにしておく必要がある。本研究では、2019年5、6、7、10月にライチョウの糞を96サンプル採取し、DNAメタバーコーディング法で採食植物を推定した。ライチョウ生息地で採取された植物136種からなるrbcLローカルデータベースとNational Center for Biotechnology Information(NCBI)のデータベースを用いて相同性検索した結果、40分類群(種レベル32種、属レベル4分類群、科レベル3分類群、目レベル1分類群)が同定できた。シャノン・エントロピー指数による希薄化曲線を構築した結果、本調査期間中の主要な採食植物の98.2%を網羅していると推定された。採食植物として推定された12科のうち最も多く検出されたのは、セリ科(96糞サンプル中の62.5%から検出。以下同様)で、次いでユキノシタ科(53.1%)、ツツジ科(52.1%)、バラ科(50.0%)となった。種レベルでは、イブキゼリモドキ(38.5%)、ベニバナイチゴ(38.5%)、ズダヤクシュ(37.5%)、クロクモソウ(36.5%)、ミヤマハンノキ(30.2%)の順に検出頻度が高かった。他のライチョウの生息地では採食頻度が低いセリ科、ユキノシタ科植物が、火打山では採食頻度が高いという地域特異性が見られた。本調査で明らかになった主要な採食植物は、火打山山頂およびその周辺のハイマツやミヤマハンノキの林縁部やその周辺部に生育する。そのため、これら樹種の伸長や生育地拡大によって主要な採食植物が生育している植生が衰退することは、採食場所の質を低下させる可能性がある。従って、これら樹種の生育を抑制することも、イネ科等植物除去と同時に検討すべき課題と考えられる。
Abstract: Mt. Hiuchi, in Niigata Prefecture, central Honshu, Japan, lies at the northern range limit of Japanese rock ptarmigan, Lagopus muta japonica. The rapid growth of gramineous plants in the area has reduced the forage available to Japanese rock ptarmigan, and a project to remove these plants is ongoing. To determine the effectiveness of these efforts, it is necessary to characterise how Japanese rock ptarmigan use available forage species. To identify forage plant use at Mt. Hiuchi, we conducted DNA metabarcoding of the rbcL gene on 96 ptarmigan faecal samples from May-July and October, 2019. The resulting sequences were analysed against a combined database of 136 species derived from samples collected from Japanese rock ptarmigan habitats, and the National Center for Biotechnology Information (NCBI). In all, we found evidence of 40 taxa, of which 32 could be identified to species, 4 to genus, 3 to family and 1 to order. Based on rarefaction and extrapolation sampling curves using the exponential of Shannon entropy, we estimated that 98.2% of available forage taxa were sampled over the study period. Of the 12 plant families represented in the combined database, the most foraged were the Apiaceae (found in 62.5% of faecal samples), followed by the Saxifragaceae (53.1%), Ericaceae (52.1%) and Rosaceae (50.0%). In the faecal samples examined, the most frequently encountered plant species were Ligusticum holopetalum (38.5%), Rubus vernus (38.5%), Tiarella polyphylla (37.5%), Micranthes fusca var. kikubuki (36.5%) and Alnus alnobetula subsp. maximowiczii (30.2%). The high foraging frequency of plants in the Apiaceae and Saxifragaceae at Mt. Hiuchi is anomalous among Japanese rock ptarmigan habitats, indicating high local specificity. Our survey further supports the potential of the gramineous plant removal project, to contribute to the restoration and conservation of major ptarmigan forage species. The major forage plants in this area grow around the summit of Mt. Hiuchi and along the margins of Pinus pumila and Alnus alnobetula subsp. maximowiczii communities. Therefore, the growth and expansion of these tree species—and the associated loss of marginal habitat—may also reduce the quality of the feeding environment for Japanese rock ptarmigan. Controlling these tree species should also be considered, along with the continued removal of gramineous plants.
ニホンライチョウLagopus muta japonica(以降、ライチョウ)は、日本の本州中部地方の高山帯(頸城山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプス)にのみ隔離分布している(中村 2007)。かつては、白山、中央アルプス、蓼科・八ヶ岳山系にも生息していたと記録されているが、現在では地域絶滅したと考えられている(中村 2007)。このような状況から、環境省が2012年に公表した第4次レッドリストでは、絶滅危惧II類(VU)から絶滅危惧IB類(EN)にカテゴリーが引き上げられた(環境省 2012)。個体群の衰退要因は、ニホンジカCervus nipponやニホンザルMacaca fuscataによる生息地へのダメージや消失、アカギツネVulpes vulpes japonicaやハシブトガラスCorvus macrorhynchosによる捕食圧の増加(Suzuki et al. 2013)、生息地への入山者の増加(羽田 1974)、気候変動などによる繁殖地環境の劣化(Hotta et al. 2019)、採食植物の減少(福田 2020;環境省自然環境局中部地方環境事務所・信越自然環境事務所・一般財団法人上越環境科学センター 2022)などと考えられている。そのため、ライチョウ個体群の保全のためには、これらの要因がライチョウ個体群に与える影響を科学的根拠に基づいて定量的に明らかにし、対策していく必要がある。
ライチョウの保全活動として、2014年に環境省、文部科学省、農林水産省によって「第一期ライチョウ保護増殖事業実施計画」(環境省長野自然環境事務所 2014)、続いて2020 年には「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画(環境省関東地方環境事務所・信越自然環境事務所 2020)が策定された。これらの事業では生息域内保全として山岳毎の生息状況の調査・モニタリングを実施し、個体群の生態などを解析、また生息域外保全として人工飼育や繁殖技術を確立することで、個体数の増加を目指している。このような、生育域内・外保全の連携においては、自然環境下における主要な採食植物を把握すること(小林・中村 2011)が重要となると考えられる。生育期内における生育地環境整備につながると同時に、生育域外保全における雛の飼育に向けた飼料開発や飼育個体の自然復帰にむけた採食植物選定における基礎的データとしても貢献できる。
日本に生息するライチョウの食性調査の先行研究には、消化管内容物調査の報告がある(千羽 1965:里見・湯浅 1968)。千羽(1965)では、北アルプスにおいて1926年-1928年の嗉のう内容物調査から22種、また里見・湯浅(1968)では立山天狗平において1967年10月の胃内容物調査から5種の採食植物を報告している。しかし、現状では特別天然記念物であり殺傷・解剖を伴う侵襲的な手法を適用することはできない。非侵襲的な調査方法には、ライチョウのついばみ行動を直接観察し、ついばむ植物を現地で同定していく、ついばみ観察調査があり、ライチョウにおいて一般的に行われている調査方法である。ライチョウの採食植物について、正確な調査期間や調査時期は不明であるが春から秋にかけて北アルプスの爺ケ岳(大町山岳博物館 1964)では77種類、岐阜県乗鞍岳(小林・中村 2011)で行われた追跡調査では40種類が報告されている。しかし、ついばみ観察調査は高山植物の知識が必要な上、高山帯においては植物体サイズが小さいものが多いため、目視観察では判断が難しい場合や、他の植物によって被覆されることでの見落としが生じる可能性がある。また、採食植物の全体像を把握するためには、長時間、長期間の追跡を行うための観察者の確保も必要となる。このほかの非侵襲的な手法として、糞内容物の顕微鏡観察があるが、ピレネー山脈に生息するL. m. pyrenaica を対象に行った先行研究(García-González et al. 2016)からは、種レベルでの同定が困難であることが指摘されている。従来の手法には以上のような課題があるほか、ライチョウの採食植物は生息地の植生の違いによって異なることが示唆されている(中村 2007)。したがって、従来の手法では、生息地域ごとに主要な採食植物を把握するためには莫大な人的・時間的コストが必要となるため、ライチョウの保全を考えるうえで、より短期間で、精度の高い採食植物を同定できる手法の確立が必要である。
近年、超並列シーケンサー(High-Throughput Sequencing: HTS)を用いたDNAメタバーコーディング法が野生生物の採食植物推定に広く利用されている(Aziz et al. 2017;Lim et al. 2018;Sato et al. 2018;Fujii et al. 2022)。著者らは、葉緑体rbcL(松木ほか 2003)と核ITS2(Cheng et al. 2016)を対象としたDNAメタバーコーディング法によって北アルプス太郎山(富山県富山市)(以降、太郎山)におけるライチョウの糞中の採食植物を同定した。その結果、7-10月に採取したライチョウの糞105サンプルから、53分類群(種レベル49種、属レベル3分類群、科レベル1分類群)の検出に成功した(Fujii et al. 2022)。DNAメタバーコーディング法による検出種類数は、これまでの嗉のう内容物調査(千羽 1965;里見・湯浅 1968)およびついばみ観察調査(小林・中村 2011)による食性報告よりも多く、また糞サンプル数に対する採食植物推定種数の網羅率から、20サンプルの供試で90%の主要採食植物が解析可能と推定されるなど、その有効性が示された。
現在、ライチョウの生息が確認できている山系のうち、最も北に位置するのが妙高戸隠連山国立公園特別保護地区内である火打山およびその周辺部である(中村 2007)。火打山の個体群は、2008年以降12羽から33羽の間で推移する国内最小の個体群である(新潟ライチョウ研究会 2020)。その上、近年ではライチョウの主要な生息地においてハイマツPinus pumila (Pall.) RegelやミヤマハンノキAlnus alnobetula (Ehrh.) K.Koch subsp. maximowiczii (Callier) Cheryの明らかな伸長や生育地拡大、元々火打山の高山植生の一部であるイネ科等植物の繁茂が進みライチョウの採食植物が被覆され衰退しているとされている(福田 2020)。特に、イネ科等植物(カヤツリグサ科スゲ類も含む)が急速に繁茂したことによってライチョウの採食植物であるコケモモVaccinium vitis-idaea、ガンコウランEmpetrum nigrumなどの下層植生が衰退しているとされている(渡辺 2020)。これらの理由から、国内で最も絶滅が危惧されている個体群である(中村 2007)。ライチョウの生息地の環境改善事業として、環境省とボランティアの協働によるイネ科等植物のヒゲノガリヤスCalamagrostis longiseta Hack.、ヒナガリヤスC. nana Takeda subsp. nana等の人為的な除去およびその効果検証のための植物社会学的調査が2020年から実施されており(福田 2020;渡辺 2020;伊藤 2020)、イネ科等植物の被度を減少させることで、ライチョウの餌資源となるコケモモの結実数を増加させる効果が示唆されている(福田 2020)。しかし、除去対象となっているヒナガリヤスはヒナガリヤス群落の標徴種に該当し、亜高山帯上部の崩壊しやすく、乾燥した風衝地に成立する自然植生である(中村 1986)。すなわち、除去対象となったイネ科植物は、もともと自然に生育していたものであったこと、国立公園特別保護地区であることからも人の手を加えるべきでないという考えがあった(福田 2020)。また、太郎山では7−10月に採取された糞サンプルの21.0%からイネ科植物が検出されたことから(Fujii et al. 2022)、火打山のライチョウにとってもイネ科植物は重要な採食植物となっている可能性がある。しかし、火打山のライチョウの主要な採食植物は、これまで調査されたことがない。
火打山の植生については1976年と2010年の空中写真で比較した結果、低茎の草本植物群落が高茎の草本植物群落に遷移し、ミヤマヤナギSalix reinii Franch. et Sav. ex Seemenやミヤマハンノキなどの落葉広葉樹低木林やハイマツ低木林の分布範囲が拡大していることが明らかになっている(福田 2020)。火打山の森林限界は約2100mで、他のライチョウの生息地である日本アルプスの森林限界の平均高度約2500mよりも低い(中村 1986;星野 1993)。この理由は、積雪期間が平年で10月中旬から6月下旬までの8ヶ月余と一般的な高山帯よりも長いためである(星野 1993)。このため、火打山の高山植生は低標高に成立することから、環境変化の影響を受けやすいため劇的な変化が生じたと考えられる(福田 2020)。
このような背景より、他のライチョウ生息域と植生が変化しつつある火打山においては、採食植物を保全するための人為的な植生管理を行う際に、他山岳の知見をそのまま適用することは適切でない可能性がある。そこで、本研究では、火打山に生息するライチョウの個体群を対象に2019年5月、6、7、10月における主要な採食植物を明らかにすることを目的に、糞から抽出したDNAを用いたDNAメタバーコーディングを実施した。ただし、調査期間中のサンプル採取は延べ5日間であり、本研究の結果は必ずしも火打山のライチョウすべての採食植物を示すわけではないが、本研究から、今後の火打山でのイネ科等植物除去等の環境改善事業や、主要な採食植物を担保した保全事業のための基礎資料として貢献することが出来る。
調査地概要
糞サンプルの採取は、火打山の山頂(標高2462m)から東の尾根筋は雷菱まで、西の尾根筋は影火打の山頂(標高2384m)から西側斜面まで、北の尾根筋は振別の池付近までの尾根筋の登山道だけでなく、登山道外のライチョウの活動が確認されている場所で実施した(図1)。調査範囲の植生概要は、火打山から東西に伸びる稜線部、山頂から北に伸びる稜線部はコケモモ−ハイマツ群集、ダケカンバ群集が帯状に群落を形成し、これら群落に隣接するようにササ群落、タテヤマアザミ−ホソバトリカブト群集、イワイチョウ−ショウジョウスゲ群集が成立している。また、これら群集・群落中にはオオシラビソ群集が小塊状もしくは帯状に成立し、それらが疎開している場所や火打山山頂直下はヒナガリヤス群落の高山草原が成立している(中村 1986;環境省自然環境局生物多様性センター 2019a、2019b)。
糞および植物サンプル採取
糞サンプルは、2019年の5月に1地点につき1サンプルずつ35サンプル(以下同様)、6月に19サンプル、7月に7サンプル、10月に35サンプルの累計96サンプルを採取し供試サンプルとした(表1)。糞サンプルの採取調査は本調査期間を通じて累計で5日間実施した。なお、採取された糞サンプルは、排泄した個体の識別ができないものもあったため、雌雄、齢等については区別しなかった。
太郎山におけるライチョウの採食植物推定の際に32科61属73種から成る葉緑体rbcLローカルデータベースが構築されている(Fujii et al. 2022)。本研究では、火打山において、既存のローカルデータベースに未登録の植物29科57属63種を採取した。これらの植物の採取は、中部地方環境事務所の許可を得て行った(環中地信許第1910103号、許可期間:令和元年10月10日―令和2年11月3日)。発見した糞サンプルはその場でチャック付きビニール袋に、植物サンプルは新聞紙に挟み、調査期間中は直射日光の当たらない気温の低い場所に保存した。下山後は、全DNA抽出まで、糞サンプルは-20度に、植物サンプルは乾燥標本(風乾状態)として保存した。
Fujii et al. (2022)では、葉緑体rbcLと核ITSの両領域を対象にDNAメタバーコーディングを実施しているが、葉緑体rbcLのみでも植物種の同定が可能であることも同研究から確認されており、本研究では、同定作業の迅速化、コストを考慮して葉緑体rbcLのみを解析対象の領域とした。
葉緑体rbcLローカルデータベース構築
本調査地で採取した植物種から、DNeasy Plant Mini Kit (Qiagen)を用いて全DNAの抽出を行い、Geneclean Spin Kit (MP-Biomedicals)で精製し、鋳型DNAとした。PCRによる葉緑体rbcL領域の増幅には、Mighty Amp DNA Polymerase Ver. 3(TaKaRa)を用い、MightyAmp DNA Polymerase Ver. 3が1μl、2X MightyAmp Bufferが25μl、20μMの葉緑体rbcL_F3R3プライマー(Forward:5’- TATCTTGGCAGCATTCCGAGTAACTCC - 3’及び、Reverse:5’- GATTCGCAGATCCTCCAGACGTAGAGC - 3’)(松木ほか 2003)が各0.8μl、滅菌水が21.4μl、鋳型となるDNA溶液が1.0μlを含む全量50μlを調整した。PCR増幅は熱変性98℃2分間1回後、熱変性98℃10秒間、アニーリング60℃15秒間、伸長反応68℃20秒間を1サイクルとして30サイクルの条件で実施した。PCR産物は1.5%アガロースゲル電気泳動(1×TBE、100 V、25 分間)で増幅を確認し、NucleoSpin Plasmid QuickPure(Macherey-Nagel)を用いて精製した。精製したPCR産物は、3500Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ社)付属のプロトコールに従い、BigDye Terminator v3.1 CycleSequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社)を用いてシーケンス反応を行い、3500 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステムズ社)を用いてダイレクトシーケンス法で塩基配列(262bp)を決定した。
Fujii et al. (2022) が構築した葉緑体rbcLローカルデータベース(アクセッション番号:LC376970−LC377042)に、新たに火打山で採取した植物の葉緑体rbcLの塩基配列(アクセッション番号:LC767947-LC768010)を加えて、43科104属136種の葉緑体rbcLローカルデータベース(以降、rbcLローカルデータベース)をmakeblastdb関数(Camacho et al. 2009)を用いて構築した。
HTSによる糞からの塩基配列決定
本調査地で採取した糞96サンプルから、DNeasy Plant Mini Kit (Qiagen)を用いて全DNAの抽出を行い、Geneclean Spin Kit (MP-Biomedicals)で精製し、鋳型DNAとした。HTS解析に必要なアンプリコンライブラリ作成のための1st PCRは、KAPA HiFi HotStart ReadyMix PCR Kit(KAPA Biosystems)を用い、2X KAPA HiFi HotStart ReadyMixが12.5μl、10μMのHTS分析用の葉緑体rbcL_F3R3プライマー(Forward:5’- ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTTATCTTGGCAGCATTCCGAGTAACTCC - 3’及び、Reverse:5’-GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT GATTCGCAGATCCTCCAGACGTAGAGC - 3’)が各0.75μl、滅菌水を9.0μl、鋳型となるDNA溶液が2.0μlを含む全量25μlを調整した。PCR産物は1.5%アガロースゲル電気泳動(1×TBE、100 V、25 分間)で増幅を確認し、AMPure XP (BECKMAN COULTER)を用いて精製し、2nd PCRのための鋳型DNAとした。2nd PCRはExTaq HS(TaKaRa)を用い、ExTaq HS が0.1μl、10X Ex Bufferが1.0μl、dNTPsが0.8μl、HTS解析にてサンプル識別するためのタグ配列(Index)とフローセル結合用の配列を付加したprimer(Forward:5’- AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC-Index2-ACACTCTTTCCCTACACGACGC - 3’及び、Reverse:5’- CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT-Index1-GTGACTGGAGTTCAGACGTGTG - 3’)が各0.5μl、滅菌水を5.1μl、鋳型となるDNA溶液が2.0μlを含む全量10μlを調整した。PCR増幅は熱変性94℃2分間1回後、熱変性94℃30秒間、アニーリング60℃30秒間、伸長反応72℃30秒間を1サイクルとして30サイクルの条件で実施し、AMPure XP (BECKMAN COULTER)を用いて精製した。その後、MiSeq Reagent Kit v3 (600サイクル) (illumina)のプロトコールに従い試薬及び各サンプルのDNAライブラリ濃度を調整し、MiSeq(illumina)を用いてPCR産物の両端から300bpずつ塩基配列を決定した。
データ解析
本研究では、統計ソフトRの「dada2」パッケージ(Callahan et al. 2016)を用いて、低品質配列やキメラ配列を除外した後、Amplicon Sequence Variant(ASV)を取得した。非常に高感度なDNAメタバーコーディング法では、コンタミネーション由来配列除去のために各サンプルから検出された低頻出ASVを除去する必要がある(東樹 2016a)。本研究ではコンタミネーション由来の植物種の検出をなるべく低減し、糞サンプルから抽出したDNAに優占していた植物種を検出するために各糞サンプルから出力されたASVの総リード数に対して1.0%を閾値として低頻出ASVを除去した。また、HTSで多サンプルを解析した場合、サンプル間で得られる総解析リード数にばらつきが生じ、サンプル毎の多様度に影響を与えるバイアスとなるため、解析リード数を揃える必要がある。そこで、統計ソフトRの「vegan」パッケージ ver.2.5-7(Oksanen et al. 2020)のrarecurve関数を用いてinterpolation(内挿)によるrarefaction curveを作成し、各糞中に含まれる全ASVを1,000リードで十分に検出できることを確認した上で、rrarefy関数を用いて各サンプルからランダムに1,000リードを抽出し、相同性検索のためのASV代表配列を決定した。また、ASVのリード数は半定量的であるため(東樹 2016b)、各ASVの検出リード数は、0(未検出)もしくは1(検出)に変換した。
相同性検索
糞サンプルから得られたASV代表配列は、構築したrbcLローカルデータベースと公開されている全塩基配列(以降、NCBIデータベース)を対象にblastn関数(Camacho et al. 2009)を用いて相同性検索を実施し、相同性98%以上の中から最も相同性が高い植物種を採食植物として採用した。同じ相同性で複数の種が検出された場合には、分類群が同一になるまで分類階層を上げていき、同一となった分類群を採用した。NCBIデータベースを活用したのはrbcLローカルデータベースに調査地のすべての植物種を採取し、反映できているのか不明であるため、未採取の植物種があった場合に補完するためである。なお、2つのデータベース結果の相同性一致率が同じ場合にはrbcLローカルデータベースを用いた検索結果を採用した。NCBIデータベースから検出された植物種の中には、調査地である火打山を含めた頸城山塊(妙高山、火打山、影火打)に自生していない植物種が存在していた。そこで、NCBIデータベースを用いた検索結果に関しては、本調査地の植物相(妙高の植物編集委員会 2018)を参考に選抜した。また、2種以上が同じ相同性で検索された場合には、rbcLローカルデータベースを用いた際と同様に、分類群が同一になるまで分類階層を上げていき、同一となった分類群を採用した(Valentini et al. 2009)。
希薄化曲線による本調査地の採食植物数羅率推定
糞サンプル数に対する採食植物数を示す希薄化曲線は統計ソフトRの「iNEXT」パッケージ(Chao et al. 2009, 2014;Hsieh et al. 2020)のiNEXT関数を用いて描画した。本調査期間における採食植物数の網羅率はestimateD関数を用いて算出した。本研究では、主要な採食植物に着目するためシャノン・エントロピー指数を用いて分析を実施した。
火打山に生息するライチョウの主要な採食植物
糞96サンプルから合計3,640,669の塩基配列が得られ、「dada2」パッケージ(Callahan et al. 2016)を用いてASVを取得した結果、合計3,085,597の塩基配列を含む405個のASVが決定された(付録1)。各糞から得られた総リード数に対して1.0%を閾値として低頻出ASVを除去した後、各糞サンプルが1,000リードとなるように塩基配列をランダムに抽出した。その結果、73個のASVがライチョウの主要な採食植物由来の塩基配列であると推定された。これら73個のASVを対象に相同性検索を実施した結果、40分類群(種レベル32種、属レベル4分類群、科レベル3分類群、目レベル1分類群)が同定できた(表1、付録2)。火打山では12科の植物種が採食されていて、最も多くの糞サンプルから検出されたのは、セリ科(62.5%、96糞サンプル中の62.5%から検出されたという意味。以下同様)で、次いでユキノシタ科(53.1%)、ツツジ科(52.1%)、バラ科(50.0%)となった。種レベルでは、イブキゼリモドキLigusticum holopetalum (Maxim.) M.Hiroe et Constance(38.5%)、ベニバナイチゴRubus vernus Focke(38.5%)、ズダヤクシュTiarella polyphylla D.Don(37.5%)、クロクモソウMicranthes fusca (Maxim.) S.Akiyama et H.Ohba var. kikubuki (Ohwi) S.Akiyama et H.Ohba(36.5%)、ミヤマハンノキ(30.2%)の順に検出頻度が高かった。
シャノン・エントロピー指数による希薄化曲線を構築した結果、曲線は極大に達していた(図2)。また、本調査期間における火打山に生息するライチョウの主要な採食植物数の網羅率をestimateD関数を用いて計算した結果、98.2%と推定された。これらの結果より、糞サンプル採取期間である2019年5、6、7、10月の主要な採食植物については、本研究から明らかにできているものと考えられた。
火打山の採食植物の地域特異性
火打山ではセリ科、次いでユキノシタ科の検出頻度が高く、他の生息地(富山県爺ヶ岳、富山県太郎山、岐阜県乗鞍岳)で採食頻度の高いツツジ科、特にクロウスゴV. ovalifolium、ガンコウラン、コケモモ、スノキ属(大町山岳博物館 1964;小林・中村 2011;Fujii et al. 2022)は低かった。ただし、セリ科やユキノシタ科の検出頻度が高かったのは主に5-7月であり、10月下旬になると、常緑性のツツジ科の検出頻度が相対的に高くなった。一般に、ライチョウの主要な採食場所は、高山帯の雪解けが早い風衝ハイデ(高山風衝矮性低木群落)やハイマツ群落が斑状に分布する風衝地である(大町山岳博物館 1964;小林・中村 2011;Fujii et al. 2022)。しかし、世界屈指の多雪地帯である火打山の採食場所は偽高山帯になるので(山縣・島村 2012)、採食場所となる風衝ハイデ(高山風衝矮性低木群落)は、風衝地のため積雪が少なく春季の融雪が早い火打山山頂付近やその稜線部の狭い範囲に限られている。そのため、火打山においては、他の生息地で主要な採食植物となっているクロウスゴ、ガンコウラン、コケモモ、スノキ属などツツジ科を採食できる採食場所は、山頂付近や稜線のコケモモ−ハイマツ群集やダケカンバ群集の林縁部など狭い場所に限定されている。それらに代わる採食植物として火打山山頂下の南西斜面の急斜面に成立しているヒナガリヤス群落、タテヤマアザミ−ホソバトリカブト群集の雪田草原や崩壊地周辺などに生育するセリ科、ユキノシタ科に依存している可能性がある。しかし、セリ科は10月末には地上部が枯死するので採食できなくなるため検出頻度が下がり、この時期でも採食可能な常緑性のツツジ科の相対頻度が高くなったものと思われる。
火打山に生息するライチョウの採食植物保全に向けての提言
火打山で実施されているイネ科等植物除去事業では、乗鞍岳での採食植物調査(小林・中村 2011)を参考にし、コケモモ、ミヤマキンバイPotentilla matsumurae Th.Wolfなどを主要な採食植物10種(種名については未記載)として選定して、イネ科等植物の除去がライチョウの採食植物に与える影響評価を行っている(福田2020)。しかし、本研究から明らかとなった火打山におけるライチョウの主要な採食植物はイブキゼリモドキ、ベニバナイチゴ、ズダヤクシュ、クロクモソウなどのセリ科、バラ科、ユキノシタ科であったのに対して、乗鞍岳では、コケモモ、ガンコウラン、コメバツガザクラArcterica nana (Maxim.) Makino等のツツジ科の矮生常緑低木であった(小林・中村 2011)。すなわち、乗鞍岳の採食植物をもとに選定した植物種は、イネ科等植物除去事業の効果を評価する対象種としては適切ではない可能性がある。一方で、令和3年度グリーンワーカー事業(火打山における協働型環境保全活動業務)報告書(環境省自然環境局中部地方環境事務所・信越自然環境事務所・一般財団法人上越環境科学センター 2022)の火打山山頂直下の事業区における植生調査結果では、この事業区内に自生し、本調査によって採食確認された植物はアオノツガザクラPhyllodoce aleutica (Spreng.) A.Heller、シラタマノキGaultheria pyroloides Hook.f. et Thomson ex Miq.、ミヤマキンバイ、本調査では種レベルで識別できなかったためキク科に内包されているミヤマアキノキリンソウSolidago virgaurea L. subsp. leiocarpa (Benth.) Hulténおよびセリ科に内包されているハクサンボウフウPeucedanum multivittatum Maxim.であった。そのため、この事業区ではイネ科等植物除去によって、これら採食植物の回復が期待できる。しかし、除去対象となっているノガリヤス属は、本研究からライチョウの採食植物であることが明らかになったため、今後のイネ科等植物除去事業では、回復対象とするライチョウの主要な採食植物を見直す必要があると思われる。
ライチョウの主要な採食植物は、北アルプスや乗鞍岳ではガンコウラン、コケモモ、クロマメノキV. uliginosum L. var. japonicum T.Yamaz.であるのに対して、ガンコウランがほとんどない南アルプスではコケモモ、クロマメノキと報告されている(中村 2007)。また、太郎山ではコケモモが少ないことから、クロウスゴ、ガンコウランが主要な採食植物と報告されている(Fujii et al. 2022)。これらのことから、ライチョウの主要な採食植物の相違は、生息地の植物種構成やその資源量に大きく影響されていると考えられる。他の生息地に比べると、火打山ではガンコウラン、コケモモ、クロマメノキなどのツツジ科の矮性低木群落はごく限られた狭い範囲に限定されている。さらに、近年ハイマツやミヤマハンノキの伸長や生育地の拡大で採食場所が減少している(福田2020)。また、山頂直下の雪田植生およびその周辺においてイネ科等植物が急速に繁茂したことも採食場所の質の衰退をさらに加速させていると考えられている(福田2020)。つまり火打山では、乗鞍岳などの他の生息地で主要な採食植物とされるツツジ科植物の採食植物資源量が少ない上に、さらにイネ科等植物の繁茂によってそれらが減少傾向にあるため、ライチョウは代替採食植物資源として、セリ科、ユキノシタ科を利用している可能性がある。その一方で、火打山における主要な採食植物が他の生息地と異なるのは、採食植物資源量の相違ではなく、適応性に関連している可能性もある。例えば、北米の草原に生息するガニソンキジオライチョウCentrocercus minimusは、地域個体群間で遺伝的分化があり、各個体群間で植物の二次代謝産物の代謝に関与する遺伝子ファミリーにも局所的適応が生じている可能性が示唆されている(Zimmerman et al. 2019)。ライチョウは、マイクロサテライトDNAによる系統解析から火打山・焼山の集団は、南北両アルプス集団の中間に位置する遺伝的に独立した集団だとされている(中村 2013)。そのため、火打山個体群は他の個体群と植物の二次代謝産物の代謝に関与する遺伝子ファミリーが異なることで、主要な採食植物が異なっていた可能性も否定できない。火打山の個体群の採食植物の相違が植生に適応したものであった場合、他の生息地の主要な採食植物とされる植物種の回復が、火打山のライチョウ個体群にとって必ずしも採食植物の資源量を増加させることにはつながらない可能性がある。
火打山で最も採食されていたイブキゼリモドキやセリ科(ハクサンボウフウ、アマニュウAngelica edulis Miyabe ex Y.Yabe、ヨロイグサA. dahurica (Hoffm.) Benth. et Hook.f. ex Franch. et Sav.のいずれか)は、火打山山頂直下のイネ科等除去事業区となったヒナガリヤス群落だけでなく、火打山山頂およびその周辺のコケモモ−ハイマツ群集、ダケカンバ群集の下層もしくは周辺に生育している。また、イネ科等植物除去の事業区では生育の報告がないが、採食頻度の高いベニバナイチゴ、クロウスゴは、ダケカンバ群集だけでなく、登山道沿いの林縁部にも生育している(中村 1986)。これまで他の生息地での採食報告がなく、本研究から火打山での採食植物として明らかとなったズダヤクシュやクロクモソウなどのユキノシタ科は、やはり火打山山頂及びその周辺部のハイマツやミヤマハンノキの林縁部等に生育する。ハイマツやミヤマハンノキはライチョウの営巣環境として利用されるものであるが、落葉広葉樹低木林やハイマツ低木林の伸長や生育地の拡大により採食場所となる群集や群落が圧迫されたり、遷移が進行することで採食場所の質を低下させる可能性があることを考えると、これら樹種の生育を抑制することも、イネ科等植物除去と同時に検討すべき課題と考えられる。
ライチョウだけでなく、他の生物種についても、保全活動では幅広い選択肢から適切な対策を決定し、それが効果的であるためには、科学的証拠に基づくことが重要である(長野 2022)。本研究では、年間を通してではないが、火打山におけるライチョウの採食植物を明らかにすることが出来た。分析から明らかになったライチョウの採食植物を考えると、現在の火打山でのイネ科植物除去事業は、主要な採食植物の回復や保全に役立つ可能性が示唆された。その一方で、その事業評価を行うための植物種の選定は、他の生息地の知見ではなく、火打山現地での調査結果をもとに選定される必要性も示された。本研究で用いたDNAメタバーコーディング法を採用すれば、既報の調査法よりも短期間で精度の高いライチョウの採食植物の同定が可能となるうえ、登山者といった植物の専門家外も糞サンプルの採取に参加できるため市民科学の仕組みづくりにもつながる(長野 2020)。今後、年間を通じた採食植物を明らかにすることで、科学的根拠に基づいた、より有益な保全策の検討が望まれる。
本研究は、中部大学特別研究費K(22318K)を受けて実施された。糞サンプルの採取は生命地域妙高環境会議による令和元年度頸城山塊ライチョウ個体群分布域調査事業の中で行った。石島竜平氏と西岡智恵子氏には現地での糞と植物サンプルの採取を手伝っていただいた。ここに記して感謝致します。
付録1 表1.HTSから出力された塩基配列とdada2によるノイズ配列処理
Input reads: HTSから出力されたリード数
Filtered reads: 予備的な品質フィルタリング後のリード数
DenoisedF/R reads: 品質フィルタリング後のリード数
Merged reads: ペアエンドされたリード数
Nonchim reads: キメラ配列除去後のリード数
付録2 表2.相同性検索結果
表1.メタバーコーディングで推定されたニホンライチョウの採食植物
目 | 科 | 属 | 学名 | 候補種 |
2019年 5月 (n=35) |
2019年 6月 (n=19) |
2019年 7月 (n=7) |
2019年 10月 (n=35) |
累計 (n=96) |
糞96サンプル 当たりの 検出頻度 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Apiales | セリ目 | Apiaceae | セリ科 | Conioselinum | ミヤマセンキュウ属 | Conioselinum chinense | ミヤマセンキュウ | 0 | 5 | 0 | 8 | 13 | 13.5% |
Ligusticum | マルバトウキ属 | Ligusticum holopetalum | イブキゼリモドキ | 20 | 4 | 3 | 10 | 37 | 38.5% | ||||
- | - | セリ科(ハクサンボウフウ,アマニュウ,ヨロイグサ) | 22 | 12 | 7 | 12 | 53 | 55.2% | |||||
Asparagales | キジカクシ目 | Asparagaceae | キジカクシ科 | Maianthemum | マイヅルソウ属 | Maianthemum dilatatum | マイヅルソウ | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2.1% |
Streptopus | タケシマラン属 | Streptopus amplexifolius | オオバタケシマラン | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1.0% | ||||
Streptopus | タケシマラン属 | Streptopus streptopoides subsp. Japonicus | タケシマラン | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1.0% | ||||
Asterales | キク目 | Asteraceae | キク科 | Cacalia | コウモリソウ属 | Cacalia aidzuensis | イヌドウナ | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1.0% |
Asteraceae | キク科(アキノキリンソウ,タテヤマアザミ,ミヤマコウゾリナ,オニアザミ,ゴマナ,ミヤマアキノキリンソウ,クロトウヒレン,ナンブアザミ) | 6 | 0 | 0 | 18 | 24 | 25.0% | ||||||
Brassicales | アブラナ目 | Brassicaceae | アブラナ科 | Arabis | ヤマハタザオ属 | Arabis nipponica | ヤマハタザオ | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1.0% |
Caryophyllales | ナデシコ目 | Polygonaceae | タデ科 | Fallopia | ソバカズラ属 | Fallopia sachalinensis | オオイタドリ | 3 | 3 | 0 | 1 | 7 | 7.3% |
Persicaria | タデ属 | Persicaria weyrichii | ウラジロタデ | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1.0% | ||||
Reynoutria | イタドリ属 | Reynoutria japonica | イタドリ | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1.0% | ||||
Rumex | スイバ属 | Rumex sp. | スイバ属(タカネスイバ,スイバ) | 0 | 0 | 0 | 14 | 14 | 14.6% | ||||
Ericales | ツツジ目 | Ericaceae | ツツジ科 | Elliottia | ホツツジ属 | Elliottia bracteata | ミヤマホツツジ | 0 | 2 | 0 | 10 | 12 | 12.5% |
Empetrum | ガンコウラン属 | Empetrum nigrum | ガンコウラン | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 2.1% | ||||
Gaultheria | シラタマノキ属 | Gaultheria pyroloides | シラタマノキ | 1 | 0 | 0 | 18 | 19 | 19.8% | ||||
Phyllodoce | ツガザクラ属 | Phyllodoce aleutica | アオノツガザクラ | 0 | 1 | 3 | 20 | 24 | 25.0% | ||||
Phyllodoce nipponica | ツガザクラ | 0 | 0 | 3 | 8 | 11 | 11.5% | ||||||
Vaccinium | スノキ属 | Vaccinium ovalifolium | クロウスゴ | 3 | 3 | 0 | 9 | 15 | 15.6% | ||||
Vaccinium vitis-idaea | コケモモ | 7 | 0 | 0 | 4 | 11 | 11.5% | ||||||
Vaccinium sp. | スノキ属(クロマメノキ,マルバウスゴ,オオバスノキ) | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3.1% | ||||||
Fagales | ブナ目 | Betulaceae | カバノキ科 | Alnus | ハンノキ属 | Alnus alnobetula subsp. maximowiczii | ミヤマハンノキ | 4 | 2 | 0 | 23 | 29 | 30.2% |
Betula | カバノキ属 | Betula ermanii | ダケカンバ | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4.2% | ||||
Malpighiales | キントラノオ目 | Salicaceae | ヤナギ科 | Salix | ヤナギ属 | Salix reinii | ミヤマヤナギ | 9 | 0 | 2 | 11 | 22 | 22.9% |
Poales | イネ目 | Poaceae | イネ科 | Avenella | コメススキ属 | Avenella flexuosa | コメススキ | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 2.1% |
Calamagrostis | ノガリヤス属 | Calamagrostis sp. | ノガリヤス属(ヒゲノガリヤス,ヒナガリヤス) | 6 | 0 | 0 | 2 | 8 | 8.3% | ||||
Poales | イネ目(フサガヤ,タチイチゴツナギ,イトイチゴツナギ, フォーリーガヤ,タカネタチイチゴツナギ,クロヌマハリイ) | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1.0% | ||||||
Ranunculales | キンポウゲ目 | Ranunculaceae | キンポウゲ科 | Ranunculus | キンポウゲ属 | Ranunculus acris | ミヤマキンポウゲ | 6 | 0 | 1 | 2 | 9 | 9.4% |
Trautvetteria | モミジカラマツ属 | Trautvetteria caroliniensis | モミジカラマツ | 0 | 4 | 0 | 9 | 13 | 13.5% | ||||
Rosales | バラ目 | Rosaceae | バラ科 | Aruncus | アルンクス属 | Aruncus dioicus | ヤマブキショウマ | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 2.1% |
Prunus | サクラ属 | Prunus nipponica var. nipponica | タカネザクラ | 8 | 0 | 0 | 7 | 15 | 15.6% | ||||
Potentilla | キジムシロ属 | Potentilla matsumurae | ミヤマキンバイ | 0 | 0 | 0 | 6 | 6 | 6.3% | ||||
Rubus | キイチゴ属 | Rubus idaeus | ミヤマウラジロイチゴ | 7 | 2 | 0 | 6 | 15 | 15.6% | ||||
Rubus pungens var. oldhamii | サナギイチゴ | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1.0% | ||||||
Rubus vernus | ベニバナイチゴ | 16 | 4 | 1 | 16 | 37 | 38.5% | ||||||
Sorbus | ナナカマド属 | Sorbus commixta | ナナカマド | 3 | 2 | 0 | 6 | 11 | 11.5% | ||||
Sorbus sp. | ナナカマド属(ナナカマド,ウラジロナナカマド) | 2 | 0 | 0 | 2 | 4 | 4.2% | ||||||
Saxifragales | ユキノシタ目 | Saxifragaceae | ユキノシタ科 | Micranthes | チシマイワブキ属 | Micranthes fusca var. kikubuki | クロクモソウ | 5 | 6 | 0 | 24 | 35 | 36.5% |
Tiarella | ズダヤクシュ属 | Tiarella polyphylla | ズダヤクシュ | 8 | 6 | 0 | 22 | 36 | 37.5% | ||||
Saxifragaceae | ユキノシタ科(ヤグルマソウ,ズダヤクシュ) | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1.0% | ||||||
less than 98% homology | 98%以下 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 2.1% |
<図
図1.調査地概要及び糞サンプルの採取地点
図中の×は糞サンプルの採取地点を示す。
図2.全糞サンプルデータを用いたシャノン・エントロピー指数よる希薄化曲線
実線は実際の解析糞サンプルから出現した植物数を基に算出したシャノン・エントロピー指数。点線は推定されたシャノン・エントロピー指数を示す。実線と点線の影は、95%信頼区間を示す。図中の数値は「iNEXT」パッケージのestimateD関数(Chao et al. 2009;Chao et al. 2014;Hsieh et al. 2020)を用いて算出した本調査期間における採食植物数の網羅率を示す。