高圧バイオサイエンスとバイオテクノロジー
Online ISSN : 1882-1723
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食品
高圧処理/酵素処理併用による鶏卵白オボムコイドの抗原性とアレルゲン性の低減化
神田 泰子原 崇城 斗志夫松野 正知鈴木 敦士小谷 スミ子
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2008 年 2 巻 1 号 p. 171-179

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抄録

オボムコイド(OVM)は熱や酵素および化学処理に安定であるため抗原性やアレルゲン性を低減化するのが困難である。そこで高圧処理と酵素処理を併用しOVMのアレルゲン性を低減化できるか否かを検討した。OVM 1.4mg/ml溶液を100-600 MPaの高圧処理後または処理下で37°C、30分間ペプシンまたはキモトリプシン処理した。ペプチドプロフィールはtricine SDS-PAGEにより、残存抗原活性は抗OVMウサギ血清IgGおよび患者血清IgEを用いたELISA法により、残存アレルゲン活性はヒト好塩基球様KU812F細胞と卵アレルギー患者血清を用いたヒスタミン遊離試験により検討した。その結果、α-キモトリプシンによるOVMの消化が高圧下において著しく促進され、 抗原性およびアレルゲン性が著しく低減化される現象を見出した。最も低下した圧力は400 MPaで、抗原性は未処理OVMの約20%にアレルゲン性は約30%に減少した。OVMを高圧下でα-キモトリプシン処理することはその抗原性とアレルゲン性を低減化させるのに有用と考えられる。

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© 2008 生物関連高圧研究会
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