抄録
キャピラリー中にグルコースイソメラーゼ(GI)の過飽和溶液を満たし、0.1 MPaと100 MPa下で制御をしながら育成した結晶を用いて、共に0.1 MPa下でX線結晶構造解析を行った。結晶化の制御においては、0.1 MPa、100 MPa下で共に温度をコントロールすることで、キャピラリー中の結晶の数を抑え、X線結晶構造解析が可能な良質で大きな結晶を作製することができた。得られた結晶を両方とも0.1 MPa下に取り出してX線結晶構造解析を行ったところ、キャピラリー中に溶液が入ったままで高分解能の構造解析が可能なことが確認できた。また、溶液共存下での結晶サイズと分解能の相関についても明らかにできた。しかし、構造解析の結果、0.1 MPaと100 MPa下で作製した結晶の間で分子構造や水和構造に明確な変化はなかった。2つのタンパク質分子を重ね合わせて、対応する原子間距離を求めてみると、最大で約1.37 Å、平均で約0.078 Åの位置の違いしかなかった。また、水和構造においては、観測された水分子の位置について、得られた結果の中で最大約10 %の位置の違いがあったが、0.1 MPaと100MPa下で作製した結晶の間での有意差は認められなかった。