高圧バイオサイエンスとバイオテクノロジー
Online ISSN : 1882-1723
ISSN-L : 1882-1723
タンパク質
円口類乳酸脱水素酵素の構造と機能
西口 慶一阿部 文快加藤 千明三輪 哲也佐藤 孝子大島 範子岡田 光正
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2008 年 2 巻 1 号 p. 54-60

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抄録
乳酸脱水素酵素(L-lactate:NAD oxidoreductase EC 1.1.1.27; LDH)は、解糖反応の最終段階で作られるピルビン酸を乳酸に変える反応を可逆的に触媒する重要な酵素である。大部分の脊椎動物において、LDHは遺伝子上にそれぞれにコードされたA-とB-サブユニットが結びついた4量体分子を形成する。A型とB型を比較すると、A型にはアルギニン、グリシン、トレオニンおよびフェニルアラニンが多く、B型はアスパラギン酸、アラニン、バリンおよびメチオニンが多い。LDHがこのような分子多様性をもつようになった過程はまったく明らかにされていない。そこで、本研究ではLDHが分子多様性を獲得したと推定される円口類において、LDHの生化学的実験を行った。ヌタウナギ(E. burgeri)、ムラサキヌタウナギ(E. okinoseanus)、 およびクロヌタウナギ (Paramyxine atami)のLDH-A cDNA配列を明らかにし、単一サブユニットからA,Bに分化する仕組みを推定した。またヌタウナギ類3種のLDH活性の耐圧性の違いを明らかにし、その耐圧性構造に関与するアミノ酸を推定した。
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© 2008 生物関連高圧研究会
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