2020 年 10 巻 1 号 p. 9-13
本研究の目的は,高齢者の下肢筋力評価法として開発された30秒椅子立ち上がりテスト(30‐second chair stand test; CS‐30)が,小学校低・中学年を対象としても有用か否かを検討することである。対象は1年生から4年生までの小学生157名(男子86名,女子71名,平均年齢は7.5±1.2歳)であり,CS‐30と握力の他,身長,体重,上体起こし,長座体前屈距離,反復横跳び,立ち幅跳び,体支持持続時間を測定して検討した。その結果,長座体前屈距離に性差が認められたが,その他の項目に性差は認められなかった。相関分析の結果,CS‐30は身長や体重とは有意な相関は認められなかったが,今回測定したすべての身体機能測定値との間に有意な相関が認められた。これらの知見から,特別な機器を必要とせず,簡便に実施できるCS‐30は,小学校低・中学年の体力測定として実施する意義が示された。