2021 年 11 巻 2 号 p. 57-64
高齢者の生活機能は,厚生労働省が作成した基本チェックリストを用いて評価することができる。本研究では,基本チェックリストの社会・認知・精神的側面から捉えた生活機能における影響要因について明らかにすることを目的とした。225名の地域在住女性高齢者を対象に基本チェックリストによる評価を実施し,生活機能低下群(103名)と生活機能維持群(122名)に分類した。2群比較の結果,生活機能低下群において痛みを有する者が多く,抱えている痛みの数も多いことが示唆された。さらに,ロジスティック回帰分析の結果,痛みの部位数が生活機能の影響要因として選択された。以上より,地域在住女性高齢者において,社会・認知・精神的側面から捉えた生活機能低下には,痛みの部位数が影響を及ぼす可能性が示された。