2022 年 11 巻 4 号 p. 173-176
本研究は,高齢者自身が能動的に実施する美容活動の脳皮質活性に対する効果を明らかにすることを目的とした。デイサービスを利用する地域在住女性高齢者7名を対象として,Near InfraRed Hemoencephalography(nIR HEG)を用いて前頭前野皮質領域の血液酸素化レベル(HEG 率)を測定し,美顔器を用いたフェイシャルマッサージを自身で行う能動的条件と他者に行わせる他動的条件の違いについて調査した。その結果,HEG 率はフェイシャルマッサージ中に徐々に増加する傾向を示したが,その変化率は受動的条件(0.30±0.36%)に比べて能動的条件(1.70±1.25%)の方がより大きかった(p<0.01)。これらの結果は,能動的に行う美容活動が前頭前野領域の活性においてより大きな効果を得られることを示唆する。