ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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ISSN-L : 2186-3741
11 巻, 4 号
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原著
  • 村田 伸, 安彦 鉄平, 中野 英樹, 阪本 昌志, 鈴木 景太, 川口 道生, 松尾 大
    原稿種別: 原著
    2022 年 11 巻 4 号 p. 151-156
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,母趾外反角(hallux valgus;HV 角)軽減シューズが外反母趾女性の歩行に及ぼす効果を検証することである。外反母趾のある女性12名(平均年齢24.8±11.5歳)を対象に,HV 角軽減シューズと外見が同じコントロールシューズを履いた際の歩行パラメータを比較した。その結果,HV 角軽減シューズを履いて歩くと,歩幅が有意(p<0.05)に広がり,両脚支持時間は有意(p<0.05)に短縮して,歩行速度が有意(p <0.05)に速まった。一方,歩隔,足角,歩行角,立脚時間,遊脚時間の5項目には有意差は認められなかった。有意差が認められた歩幅,両脚支持時間,歩行速度の効果量はΔ=|0.46|~|0.60|の範囲にあり,HV 角軽減シューズが外反母趾女性の歩行に及ぼす一定の効果が示唆された。

  • 渡部 祥輝, 河辺 信秀, 田村 将希, 森川 ほのか, 横山 航大
    原稿種別: 原著
    2022 年 11 巻 4 号 p. 157-165
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    【目的】義肢装具士が作製した足底装具(FMPO)と即時的に作製した足底装具(FMI)が,健常成人の歩行動作において同様の効果が得られるかを明らかにすることであった。【方法】健常成人15名を対象とし,三次元動作解析装置,および足底圧分布計測装置を用いて,快適速度での歩行中の時間・空間因子や,運動学,運動力学的因子,足底圧を測定した。測定条件は,フラットインソール着用(CTL),FMPO 着用,およびFMI着用の3条件とした。【結果】足底圧において,CTL と比較しFMPO,FMI で,踵部の最大足底圧(PP)が有意に減少した。中足部のPP,および圧時間積分値(PTI)で,CTL に対し,FMPO,FMI で有意に増加し,FMPO がFMO よりも有意に増加していた。足圧中心(COP)外側動揺幅はCTL と比較して,FMPO,FMI で有意に減少していた。【結論】中足部のPP や,PTI,COP 外側動揺幅の結果から,FMI はFMPO と同様に内側縦アーチの支持機能と,COP 外側動揺幅を減少させる機能を有していることが示唆された。

  • ―上肢骨折患者を対象とした縦断研究による検討―
    廣津 昂, 村田 伸, 斎藤 正一, 永友 知子, 河端 博也
    原稿種別: 原著
    2022 年 11 巻 4 号 p. 167-172
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,上肢骨折患者21名(平均年齢63.6±14.6,男性5名,女性16名)を対象に,ペットボトルキャップテスト(PET bottle cap test;PCT)を縦断的に評価し,PCT が上肢機能の回復過程を反映するか否かを検証することである。その結果,PCT とHand20は初回と比べて1週後,および1週後に比べて1ヶ月後に有意差を認めた。また,ペグテスト,握力,ピンチ力の患側は初回と比較して1週後に有意差を認めたが,1ヶ月後に有意差を認めなかった。一方で,ボタンの留め外し時間と更衣時間は,初回と比べ1 週後には有意差が認められなかったが,1ヶ月後に有意差が認められた。以上より,PCT は上肢骨折患者の患側機能および両手の上肢操作能力の経時的変化を評価できる有用な評価法であることが示された。PCT は特別な測定機器を必要とせず,ペットボトルとストップウォッチのみで計測できる汎用性の高い評価法であり,臨床現場で使用できることが示唆された。

短報
  • 村田 潤, 古後 晴基, 村田 宇, 村田 伸, 大山 美智江, 谷 都美子
    原稿種別: 短報
    2022 年 11 巻 4 号 p. 173-176
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,高齢者自身が能動的に実施する美容活動の脳皮質活性に対する効果を明らかにすることを目的とした。デイサービスを利用する地域在住女性高齢者7名を対象として,Near InfraRed Hemoencephalography(nIR HEG)を用いて前頭前野皮質領域の血液酸素化レベル(HEG 率)を測定し,美顔器を用いたフェイシャルマッサージを自身で行う能動的条件と他者に行わせる他動的条件の違いについて調査した。その結果,HEG 率はフェイシャルマッサージ中に徐々に増加する傾向を示したが,その変化率は受動的条件(0.30±0.36%)に比べて能動的条件(1.70±1.25%)の方がより大きかった(p<0.01)。これらの結果は,能動的に行う美容活動が前頭前野領域の活性においてより大きな効果を得られることを示唆する。

活動報告
  • ―マーカーレスモーションキャプチャによる解析―
    村田 伸, 甲斐 義浩, 大山 美智江, 坂田 栄二
    原稿種別: 活動報告
    2022 年 11 巻 4 号 p. 177-182
    発行日: 2022/02/28
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,移乗介助用福祉用具を使用したときと,使用しなかったときの介助動作を検討した。解析は,介助者の腰部前傾角と介助対象者との頭部間距離に着目し,マーカーレスモーションキャプチャを用いて行った。対象とする介助動作は,①スライディングシートを用いたベッド上での身体の上方移動,②電動ベッドの背上げ機能を用いた端坐位への起き上がり,③スライディングボードを用いた車椅子への移乗の3動作とし,それぞれ人力のみによる介助動作と比較した。動作開始時・中間時点・動作終了時における腰部前傾角と頭部間距離を比較した結果,移乗介助用福祉用具を用いた介助の方が,人力のみによる介助よりも腰部前傾角は有意(p<0.05)に小さく,頭部間距離は有意(p<0.01)に離れていた。今回の結果から,移乗介助用福祉用具を用いて介助を行うことは,介助者の腰部への負担軽減のみならず,感染予防対策からも有用である可能性が示された。

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