抄録
本研究では,最大一歩幅の予測と実測を併せて行い,筋力やバランス能力,歩行能力との関連から,最大一歩幅の予測値の測定意義を検討した。地域在住女性高齢者100名を対象に,最大一歩幅の予測値および実測値,30秒椅子立ちあがりテスト,膝伸展筋力,片脚立位時間,通常歩行速度を測定し,最大一歩幅とその他の測定項目の相関分析を行った。さらに,最大一歩幅の予測値を従属変数とした重回帰分析を行った。その結果,最大一歩幅の予測値と実測値には強い正の相関を認めた。さらに,最大一歩幅の予測値および実測値は,その他の測定項目全てと有意な正の相関を認めた。重回帰分析の結果,最大一歩幅の予測値と独立して関連する因子として歩行速度が抽出され,歩行速度低下を示す最大一歩幅の予測値のカットオフ値は77.5cm と算出された。これらのことから,最大一歩幅の予測値は歩行能力低下のスクリーニングテストとして活用できることが示唆された。