抄録
本研究では,日本人膝OA 患者を対象に,大腿脛骨角(FTA)と大腿骨内側上顆間の距離を測定し,大腿骨内側上顆間距離による膝内反アライメントの簡易評価法の妥当性を検討した。対象は,膝OA 患者20名(男性14名,女性6名)とした。大腿骨内側上顆間距離は,直立位における左右の大腿骨内側上顆の距離をノギスで測定し,平均化FTA との関連性を検討した。その結果,平均化FTA と大腿骨内側上顆間距離との間に,有意な極めて高い相関が認められた(r=0.91,p<0.01)。さらに,平均化FTA と大腿骨内側上顆間距離による単回帰分析の結果,得られた回帰式は,平均化FTA=1.405×大腿骨内側上顆間距離+174.944であり,回帰式の調整済みR2は0.81と有意であった(p<0.01)。これらのことから,大腿骨内側上顆間距離は,膝内反アライメントを把握するうえで,有用な評価法であることが示唆された。