2024 年 14 巻 2 号 p. 65-72
本研究は,アロマ足浴・足部マッサージによる介入が中等度および重度認知症高齢者の睡眠状況, および認知症の行動心理周辺症状(Behavioral and PsychologicalSymptoms of Dementia:BPSD)に与える影響について検討した。対象は,介護老人保健施設に入所する中等度から重度認知症高齢者12名とした。方法は,対象をランダムに介入群と非介入群の2 群に分け,介入群に対し45分間のアロマ足浴・足部マッサージを5 日間実施した。評価期間は,介入期間の前週の平日5 日間と介入期間中の平日5 日間と設定した。評価指標は,夜間の睡眠状況をシート型睡眠計にて測定し,BPSD の重症度と負担度を対象の様子観察により評価した。その結果,介入群は非介入群と比較して,深睡眠時間の有意な増加を認めた。BPSD に関しては有意な改善が認められなかった。これらの結果から,アロマ足浴・足部マッサージによる介入は,認知症高齢者の深睡眠時間を増加させる可能性が示された。