ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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14 巻, 2 号
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原著
  • ―東北地方の2地域の比較―
    中江 秀幸, 相馬 正之
    原稿種別: 原著
    2024 年 14 巻 2 号 p. 53-63
    発行日: 2024/10/31
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル オープンアクセス

    在宅パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD)患者の活動状況の現状把握と外出状況への影響因子の検討を目的とした。2 地域居住のPD 患者に介護保険利用状況と外出状況をアンケート調査し,居住地域性についてχ2検定で検討した。その結果,介護保険利用率が64. 3%であり,利用中のサービス種別は通所サービスや訪問リハビリテーションが多かった。外出目的では生活必需行動が多く,社会・余暇活動は少なかった。外出手段では,自家用車と徒歩が多く,公共交通機関や車椅子の利用が少なかった。外出目的は趣味や娯楽,外出手段は車椅子で地域差を認め,交通などの利便性の影響が示唆された。夏季に比べ冬季の外出頻度が低下したが,地域差はなく, 1 回/ 週の外出機会が確保されていた。冬季および夏季の外出頻度を説明変数とした順序ロジスティック回帰分析で年齢,性別,介護保険サービス利用有無が有意な関連因子であった。

  • 萩原 崇, 村田 伸, 岩本 航平, 阿波 邦彦, 髙川 晃敏, 堀江 淳
    原稿種別: 原著
    2024 年 14 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 2024/10/31
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,アロマ足浴・足部マッサージによる介入が中等度および重度認知症高齢者の睡眠状況, および認知症の行動心理周辺症状(Behavioral and PsychologicalSymptoms of Dementia:BPSD)に与える影響について検討した。対象は,介護老人保健施設に入所する中等度から重度認知症高齢者12名とした。方法は,対象をランダムに介入群と非介入群の2 群に分け,介入群に対し45分間のアロマ足浴・足部マッサージを5 日間実施した。評価期間は,介入期間の前週の平日5 日間と介入期間中の平日5 日間と設定した。評価指標は,夜間の睡眠状況をシート型睡眠計にて測定し,BPSD の重症度と負担度を対象の様子観察により評価した。その結果,介入群は非介入群と比較して,深睡眠時間の有意な増加を認めた。BPSD に関しては有意な改善が認められなかった。これらの結果から,アロマ足浴・足部マッサージによる介入は,認知症高齢者の深睡眠時間を増加させる可能性が示された。

  • ―歩行補助具の使用有無別の検討―
    坂野 裕也, 村田 伸, 中野 英樹
    原稿種別: 原著
    2024 年 14 巻 2 号 p. 73-79
    発行日: 2024/10/31
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,通所介護事業所を利用している要介護高齢者238人を対象に,最大一歩幅を用いた認識誤差と身体機能との関係について,歩行補助具使用の有無別に検討した。方法は,最大一歩幅の予測値と実測値を測定し,予測値が実測値よりも小さい過小評価群,大きい過大評価群の2 群に分類した。また,歩行時に歩行補助具を使用する歩行補助具使用群と使用しない独歩群に分類した。測定項目は,Functional Independence Measure の運動項目,10 m歩行時間,片脚立位時間,膝伸展筋力,Mini Mental State Examinationとした。二元配置分散分析および下位検定の結果,歩行補助具使用群は独歩群に比べ,また過大評価群は過小評価群に比べ,最大一歩幅,片脚立位時間,膝伸展筋力が有意に低値を示し,10 m 歩行時間が有意に長かった。本研究の結果,最大一歩幅を過大に評価する要介護高齢者は,歩行補助具使用の有無にかかわらず,最大一歩幅が減少し,歩行能力が低下していることが示唆された。

短報
  • 幸田 仁志, 甲斐 義浩, 来田 宣幸, 村田 伸, 松井 知之, 宮﨑 哲哉, 渡邊 裕也, 森原 徹
    原稿種別: 短報
    2024 年 14 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2024/10/31
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕非負値行列因子分解を用いて,肩関節挙上運動の筋活動パターンを分析した。〔方法〕対象者は,健常成人18名とした。肩関節挙上および降下運動時の三角筋前・中・後部線維,棘下筋,僧帽筋上・中・下部線維,広背筋,前鋸筋,大胸筋の筋活動を表面筋電計にて計測し,非負値行列因子分解により筋活動パターンを3 シナジーに分解した。〔結果〕挙上角度に伴い活動が高まるシナジー1 ,運動の前半と後半の二峰性に活動が高まるシナジー2 ,運動の前半に活動が高まるシナジー3 に分類された。三角筋各線維は,シナジー1 で有意に高値を示した。棘下筋は,シナジー1 と比較して,シナジー2 およびシナジー3 で有意に高値を示した。僧帽筋上部・中部線維ではシナジー2 が,前鋸筋はシナジー3 で有意に高値を示した。〔結語〕非負値行列因子分解により示された活動パターンは,理論上の役割と概ね整合しており,新たな解析手法として応用できる可能性がある。

活動報告
  • 前原 宏樹, 藤本 宗平, 藤本 竜平
    原稿種別: 活動報告
    2024 年 14 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2024/10/31
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,入院・通院中の高齢者が普段在宅で行っている日常生活の優先度を明らかにし,運動継続に結びつけることである。対象は当院に入院・通院中の患者および当院併設のデイサービスを利用されており,歩行が自立,かつ認知機能低下のない高齢者42名である。日常生活活動の優先度について質問紙調査を実施した。屋外の活動18項目,屋内の活動18項目の中から「普段最もよく行っている活動」1 ~ 5 までの順位付けをさせた。その結果,男性と女性ともに整容が1 位であった。男性は上位に庭周りの活動が多く,女性は家事活動が多くを占めていた。男女別で優先順位が大きく異なる傾向がみられた。優先される活動は男性で庭周りの活動,女性で家事活動が多いため,運動を継続してもらうためには,対象者の性別や生活環境を考慮した指導が必要になる可能性が示された。

  • 田中 真紀, 宮地 遥, 権野 めぐみ, 松井 知之, 東 善一, 平本 真知子, 宮﨑 哲哉, 野村 照夫, 屋 京典, 幸田 仁志, 渡 ...
    原稿種別: 活動報告
    2024 年 14 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2024/10/31
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,ジュニアアスリート52名を対象に,整形外科医によるスポーツ障害の評価と身体機能評価テストとの関係を検討した。メディカルチェックでは,膝および下腿・足部障害の有無を確認した。身体機能評価テストは,体幹屈曲,片脚フルスクワット,しゃがみ込み,Active Straight Leg Raise(ASLR)とした。小学生では,膝障害および下腿・足部障害と身体機能評価テストとの関連がみられなかった。中学生では,しゃがみ込みと片脚フルスクワットのスコアが低いと膝障害の陽性割合が高く,体幹屈曲とASLRのスコアが低いと下腿・足部障害の陽性割合が高くなる傾向が確認された。本研究の身体機能評価テストの活用で,中学生の下肢障害の早期発見や予防に重要な役割を果たすことが期待される。

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