2024 年 14 巻 2 号 p. 73-79
本研究は,通所介護事業所を利用している要介護高齢者238人を対象に,最大一歩幅を用いた認識誤差と身体機能との関係について,歩行補助具使用の有無別に検討した。方法は,最大一歩幅の予測値と実測値を測定し,予測値が実測値よりも小さい過小評価群,大きい過大評価群の2 群に分類した。また,歩行時に歩行補助具を使用する歩行補助具使用群と使用しない独歩群に分類した。測定項目は,Functional Independence Measure の運動項目,10 m歩行時間,片脚立位時間,膝伸展筋力,Mini Mental State Examinationとした。二元配置分散分析および下位検定の結果,歩行補助具使用群は独歩群に比べ,また過大評価群は過小評価群に比べ,最大一歩幅,片脚立位時間,膝伸展筋力が有意に低値を示し,10 m 歩行時間が有意に長かった。本研究の結果,最大一歩幅を過大に評価する要介護高齢者は,歩行補助具使用の有無にかかわらず,最大一歩幅が減少し,歩行能力が低下していることが示唆された。