抄録
本研究の目的は,地域在住の女性高齢者161名(平均年齢75.0±5.7歳)を対象に,Quality of Life(QOL)を総合的に評価し,床からの立ち上がり所要時間との関係を検討することである。方法は,背臥位からの立ち上がり所要時間をストップウォッチで測定し,活動能力,主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係に対する満足度を面接聞き取り法で評価した。単相関分析の結果,床からの立ち上がり所要時間と有意な相関が認められたのは,活動能力,生きがい感,主観的健康感であり,重回帰分析によって床からの立ち上がり所要時間に独立して関係する因子として抽出されたのは,活動能力のみであった。これらの知見から,床からの立ち上がり所要時間が短い高齢者ほど,活動能力が高いことが示唆された。また,QOL の中でも精神・心理機能に関する項目とは関連しないことが明らかとなった。