ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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2 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • ―再現性と妥当性の検討―
    大熊 美穂, 西 起成, 村田 伸
    2012 年 2 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,要介護高齢者23名(平均年齢78.6±10.6歳)を対象に,最適歩行と最速歩行の再現性と妥当性について検討した。最適および最速歩行をそれぞれ2回実施し,級内相関係数により再現性を検討した。また,妥当性についてはFunctional reach test(FRT),Frail CS‐10との相関係数を求めて検討した。その結果,最適・最速歩行における歩行速度や歩行率などの各歩行因子の再現性は概ね高かったが,最適歩行時の総軌跡長は0.67と再現性が低かった。また,最適・最速歩行における多くの歩行因子とFRT ならびにFrail CS ‐10との間に有意な相関が認められた。ただし,最適歩行における歩隔と総軌跡長は,Frail CS‐10との間に有意な相関は認められなかった。これらの知見から,最適・最速歩行はともに良好な再現性と妥当性が確認されたが,その人の持つバランス能力を評価するためには最速歩行の方がより優れていることが示唆された。
  • 岩瀬 弘明, 村田 伸, 宮崎 純弥, 大田尾 浩, 堀江 淳
    2012 年 2 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,地域在住の女性高齢者161名(平均年齢75.0±5.7歳)を対象に,Quality of Life(QOL)を総合的に評価し,床からの立ち上がり所要時間との関係を検討することである。方法は,背臥位からの立ち上がり所要時間をストップウォッチで測定し,活動能力,主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係に対する満足度を面接聞き取り法で評価した。単相関分析の結果,床からの立ち上がり所要時間と有意な相関が認められたのは,活動能力,生きがい感,主観的健康感であり,重回帰分析によって床からの立ち上がり所要時間に独立して関係する因子として抽出されたのは,活動能力のみであった。これらの知見から,床からの立ち上がり所要時間が短い高齢者ほど,活動能力が高いことが示唆された。また,QOL の中でも精神・心理機能に関する項目とは関連しないことが明らかとなった。
  • 安彦 鉄平, 安彦 陽子, 島村 亮太, 宮﨑 純弥, 相馬 正之, 小川 大輔, 丹野 亮, 林 泰史
    2012 年 2 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    【目的】運動器不安定症外来女性患者を対象にビタミンD 濃度と身体機能・生活機能との関連性を明らかにすることとした。【方法】対象は運動器不安定症と診断された48名とし,ビタミンD 濃度,疼痛,膝関節伸展筋力(膝伸展筋),片脚立位時間(OLS),Timed Up and Go test(TUG),Berg Balance Scale(BBS),10?歩行最短所要時間(MWT),老研式活動能力指標(TMIG)を測定した。各測定値の関連性は,単回帰分析と重回帰分析を用いて検討した。【結果】単回帰分析にてビタミンD と膝伸展筋,OLS,BBS,MWT で有意な相関を示した。OLS とTUG を目的変数とした重回帰分析の結果,OLS ではビタミンD とBBS が,TUG ではBBS とMWT が説明変数として抽出された。【結論】ビタミンD 濃度は,運動器不安定症女性患者の身体機能を示す有用な指標となる可能性を示した。
短報
  • 古後 晴基, 村田 伸, 村田 潤, 安部田 章, 上城 憲司
    2012 年 2 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,健常成人女性12名(年齢21.3±0.6歳)を対象に,マッサージによる末梢循環動態に与える影響を検証する目的で,マッサージ前後の足趾容積変動およびサーモグラフィーによる手背部皮膚温度分布の変化を調査した。15分間の安楽座位を対照課題とし,実験課題は15分間のマッサージ(肩部,腰背部,下腿部)を実施した。その結果,マッサージ実施後の足趾容積変化量は,-0.83±0.26ml/100ml/?(平均±標準誤差)であり,有意に減少した(P<0.05)。皮膚温度分布の変化は,安楽座位およびマッサージ有のいずれにおいても上昇傾向を示したが,有意な差は認めなかった。これらのことから,マッサージによる末梢循環動態の受ける影響は,下肢のむくみ軽減や皮膚温度の変化を反映することが示唆された。
  • 仲村 匡平, 村田 伸, 村田 潤, 古後 晴基, 松尾 奈々
    2012 年 2 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,ホットパック(以下HP)表面温度と皮膚表面温度を調整し,湿熱法と乾熱法での下腿の筋血流量を比較検討した。[対象]健常成人5名10脚とした。[方法]対象者は腹臥位で,下腿部後面にHP を20分間実施した。湿熱法はHP をコットンタオル8枚で巻き,乾熱法はHP をビニール袋で包んだ後,コットンタオル3枚で巻いて施行した。皮膚表面温度と筋血流量の測定は,HP 施行前後に行った。[結果]下腿の筋血流量の変化率は,HP 施行前と比較し,湿熱法施行後に有意な増加が認められたが,乾熱法施行後では有意な増加は認められなかった。[結語]HP 療法における湿熱法は下腿の筋血流量を増加させる手段として有効であることが示された。
  • ―Fine Wire 電極を用いた腹横筋の分析―
    大関 純平, 深堀 辰彦, 藤野 洋佑, 倉富 慎介, 杉山 進, 小野 英規, 中尾 一久, 山田 道廣
    2012 年 2 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    〔目的〕FineWire 電極を使用し,股関節屈曲(以下,下肢動作)を行うことで,下肢動作に伴う体幹深層筋の筋活動性を検討する。〔方法〕整形外科学的疾患を有さない健常男性一名を対象とし,FineWire 電極を右腹横筋・右内腹斜筋に刺入した。測定課題は,両股関節屈曲位の背臥位での下肢動作,端座位での下肢動作,バルーン上の端座位での下肢動作,端坐位での風船膨らましとした。下肢動作は左右行い,自動運動と抵抗運動を行った。〔結果〕下肢動作に抵抗を加えると体幹深層筋の筋活動が高値を示した。体幹深層筋の体幹安定化への貢献度は肢位や重力の影響を受ける。また,腹横筋には同側への体幹側屈作用を有している可能性を認めた。〔結論〕体幹深層筋は,下肢動作に伴う姿勢変化に活動形態を変化させ,下肢動作を行う際の土台として関与している可能性がある。しかし,体幹深層筋の体幹安定化への貢献度は肢位や重力の影響を受けることが推察された。
  • 米田 香, 安田 直史, 村田 伸
    2012 年 2 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,通所リハビリテーションを利用している要介護女性高齢者30名(平均年齢83.2±6.0歳)を対象に,外出行動の有無と身体機能との関連を検討した。方法は,ベースライン調査として握力,歩行速度,Timedupandgotest(TUG),Functional reach test(FRT),ADL 能力を評価し,その測定値を一年半後の追跡調査時に一人での外出の可否別で比較した。その結果,外出継続群(15名)と非継続群(15名)との間に年齢,握力,歩行能力の3項目には有意差は認められなかったが,ADL 能力と立位バランスに有意差が認められ,外出継続群が非継続群より有意に高かった。これらの知見から,要介護女性高齢者が 一人で近隣への外出を継続するためには,ADL 能力と立位バランス能力の維持が重要であることが示唆された。
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