抄録
[目的]EC‐FRT(functional reach test with eyes closed)から地域在住高齢者の転倒の有無を判別できるのかを検証した。[対象]介護認定を受けていない地域在住高齢者101名とした。[方法]EC‐FRT,FRT および過去1年間の転倒歴を測定した。[結果]EC‐FRT は,加齢とともに低下していた。また,EC‐FRT は非転倒群よりも転倒群の方が低値であった。とくに,EC‐FRT が25.5cm 以下になると転倒リスクが高くなっていた。EC‐FRT は「転倒あり」の判別よりも「転倒なし」の判別の方が診断精度は高く,FRT よりもEC‐FRT の方がより正確に転倒を判別できた。[結語]高齢者が転ばないように,目指すべき立位バランスの目標値をEC‐FRT から設定できる可能性が示された。