抄録
[目的]頸椎椎弓形成術後における軸性疼痛と,術前後の頸部伸筋群CT 所見との関連性を検討した。[対象]頸椎椎弓形成術を受けた18例(男性15例,女性3例,平均年齢64.9歳)であった。[方法]術後1年の頸部痛をVisual Analogue Scale(VAS)で評価し,疼痛群(P 群:8名)と非疼痛群(N 群:10名)の2群に分けた。検討項目を,基本特性,術前と術後3ヵ月のCT 上の頸部伸筋群断面積(筋断面積)・CT 値およびそれらの変化率として,2群間で比較した。[結果]P 群はN 群よりも筋断面積増加率が有意に高く,CT 値増加率は有意に低かった(p<0.01)。さらにP 群におけるVAS と筋断面積増加率には有意な正の相関,VAS とCT 値増加率,また筋断面積増加率とCT 値増加率には,有意な負の相関を認めた(いずれもp<0.05)。[結語]術後1年の軸性疼痛が強い症例では,術後3ヶ月CT 所見で筋断面積増加とCT 値低下がみられたことから,軸性疼痛発生の予測因子としてCT 所見が指標となる可能性を示唆した。