ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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ISSN-L : 2186-3741
5 巻, 4 号
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原著
  • 幸田 仁志, 甲斐 義浩, 大杉 紘徳, 福本 貴彦, 村田 伸
    2016 年 5 巻 4 号 p. 161-165
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者における最速歩行時の身体動揺性と膝伸展筋力,足把持力,握力との関連を分析し,身体動揺性に影響を及ぼす筋力因子について検討した。〔方法〕地域在住女性高齢者66名を対象とした。身体動揺性には,小型無線加速度センサを用い,5m最速歩行時における3軸加速度を計測した。加速度波形より上下動揺性,前後動揺性,左右動揺性をそれぞれ算出し,膝伸展筋力,足把持力,握力との関連を,ピアソンの相関係数および重回帰分析を用いて検討した。〔結果〕上下動揺性は膝伸展筋力,足把持力,握力との間に有意な相関を認めた。また,前後動揺性は足把持力との間に有意な相関を認めた。一方,左右動揺性はいずれの筋とも有意な相関を認めなかった。上下動揺性および前後動揺性に影響を及ぼす因子として,足把持力のみが抽出された。〔結語〕足把持力は,高齢者における歩行時の身体動揺性を予測しうる可能性がある。
  • 白岩 加代子, 村田 伸, 安彦 鉄平, 阿波 邦彦, 窓場 勝之, 堀江 淳
    2016 年 5 巻 4 号 p. 167-171
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    地域在住高齢者を対象に身体機能の評価を行い,参加しているサークルにより身体機能に差異がみられるのか検討した。測定項目は,上体起こし,30秒間椅子立ち上がりテスト,開眼片足立ち時間,5ⅿ最速歩行時間,Timed Up & Go test とし,「いきいき百歳体操」と「マシントレーニングサークル」のグループに分けて比較した。年齢と性別を共変量として解析した結果,上体起こしの測定項目のみ「いきいき百歳体操」グループの方が,「マシントレーニングサークル」グループよりも低い値を示した(p<0.01)。このことから,「いきいき百歳体操」グループでは,体幹機能の強化に関してはさらにトレーニングを追加する必要性が示唆された。
短報
  • 市ノ瀬 有佐, 山田 耕平, 大塚 和俊, 小野 恭裕, 本田 透, 横山 茂樹
    2016 年 5 巻 4 号 p. 173-177
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    [目的]頸椎椎弓形成術後における軸性疼痛と,術前後の頸部伸筋群CT 所見との関連性を検討した。[対象]頸椎椎弓形成術を受けた18例(男性15例,女性3例,平均年齢64.9歳)であった。[方法]術後1年の頸部痛をVisual Analogue Scale(VAS)で評価し,疼痛群(P 群:8名)と非疼痛群(N 群:10名)の2群に分けた。検討項目を,基本特性,術前と術後3ヵ月のCT 上の頸部伸筋群断面積(筋断面積)・CT 値およびそれらの変化率として,2群間で比較した。[結果]P 群はN 群よりも筋断面積増加率が有意に高く,CT 値増加率は有意に低かった(p<0.01)。さらにP 群におけるVAS と筋断面積増加率には有意な正の相関,VAS とCT 値増加率,また筋断面積増加率とCT 値増加率には,有意な負の相関を認めた(いずれもp<0.05)。[結語]術後1年の軸性疼痛が強い症例では,術後3ヶ月CT 所見で筋断面積増加とCT 値低下がみられたことから,軸性疼痛発生の予測因子としてCT 所見が指標となる可能性を示唆した。
  • 小澤 実奈, 村田 伸, 窓場 勝之, 小西 佑磨, 阪本 昌志, 高橋 萌, 吉田 安香音, 安彦 鉄平, 白岩 加代子, 阿波 邦彦, ...
    2016 年 5 巻 4 号 p. 179-183
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    要旨:本研究の目的は,最適歩行と最速歩行の歩行パラメーターと下肢筋活動を比較し,それぞれの特徴を明らかにすることである。方法は,健常成人女性15名を対象に,歩行中の大腿直筋,大腿二頭筋長頭,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量を,表面筋電計を用いて測定した。なお,歩行パラメーターは歩行分析装置を用いて評価した。その結果,歩行パラメーター,筋活動においてすべて有意差を示した。さらに,最適歩行に比べ最速歩行の歩行率は歩幅よりも有意に増加し,立脚時間・両脚支持時間は有意に減少した。下肢の筋活動においては,最速歩行ですべての筋活動が2倍前後増加し,遊脚期の大腿直筋のみ約3倍増加した。以上のことから,歩行速度の増大には,歩行率の増加,立脚期の短縮が大きく関与し,また筋活動では前方への推進力としての役割が強い大腿直筋が大きく影響していることが示唆された。
  • ―健常成人を対象とした検討―
    阪本 昌志, 村田 伸, 小澤 実奈, 小西 佑磨, 高橋 萌, 吉田 安香音, 安彦 鉄平, 白岩 加代子, 阿波 邦彦, 窓場 勝之, ...
    2016 年 5 巻 4 号 p. 185-189
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は後方歩行における,歩行パラメーターと筋活動の特徴を明らかにすることである。対象は健常成人女性15名とし,各筋の最大随意収縮を測定後,前方歩行と後方歩行の2条件で歩行を行った。歩行中の歩行パラメーターと筋活動量を歩行分析装置及び表面筋電計を用いて計測した。結果,後方歩行は前方歩行と比較して,歩行パラメーターでは速度,ケイデンス,ステップ長,ストライド長が有意に低下し,立脚時間,遊脚時間,両脚支持時間は有意に増加した。また,筋活動量では,立脚期の大腿直筋,前脛骨筋,遊脚期の大腿二頭筋が有意に増加し,立脚期の大腿二頭筋が有意に減少した。以上のことから,後方歩行では距離因子,時間因子の影響により前方歩行に比べて速度,ケイデンスが低下することで安定性が高まり,1歩行周期での筋活動量においても前方歩行と相違が認められたことから,後方歩行の運動学的特徴が明らかとなった。
  • 国宗 翔, 原田 信子, 岡田 修一
    2016 年 5 巻 4 号 p. 191-197
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】地域在住高齢者を対象とし,継続的なウォーキングプログラムが体力と閉眼時の歩行に与える影響を検討した。【方法】対象者は健常な地域在住高齢者20名とした。対象者にはベースライン評価時にウォーキングプログラムを指導し,6ヶ月後に最終評価を行った。体力評価として,開眼片脚立位保持時間,Timed Up & Go Test,10回椅子立ち上がり時間(Sit-to Stand test,以下STS),開閉眼立位における重心動揺の総軌跡長より算出したロンベルグ率を評価した。歩行評価として,閉眼時の歩行における歩行速度,歩幅,両脚支持期間を評価した。【結果】6ヶ月間でSTS の有意な短縮を認めた。閉眼時の歩行において,歩行速度の有意な向上,歩幅の有意な増大,両脚支持期間の有意な短縮を認めた。またロンベルグ率の変化率と両脚支持期間の変化率に有意な相関関係を認めた。【結語】6ヶ月間のウォーキングプログラムは体力と閉眼時の歩行能力を向上させる可能性が示唆された。
活動報告
  • 福尾 実人, 田中 聡
    2016 年 5 巻 4 号 p. 199-204
    発行日: 2016/01/31
    公開日: 2016/03/17
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,運動器疾患を有する高齢者の身体活動量に関連する要因を運動機能,心理機能に加えて栄養状態から明らかにすることである。【対象】65歳以上の運動器疾患を有する地域在住高齢者14名とした。【方法】身体活動量の評価は,Life-Space Assessmen(t LSA)を用いた。LSA と年齢,BMI,Mini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF),Fall Efficacy Scale(FES),motor-Functional Independence Measure(FIM-M),運動機能測定,連続歩行距離,主観的健康感との関連性を検討した。【結果】LSA は,転倒恐怖感,日常生活活動,運動機能,移動能力との関連を認めた。【結語】運動器疾患を有する高齢者の身体活動量は低く,日常生活活動を中心とした改善が重要である。
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