2016 年 6 巻 2 号 p. 59-64
[目的]軽度の認知機能障害に該当する高齢者と認知機能の低下を認めない高齢者の身体機能,活動能力および精神機能を比較し,認知機能に及ぼす要因を検討した。[方法]地域在住高齢者335名を対象に,MMSE24‐26点の者を軽度認知機能障害群(MCI 群),27点以上の者を対照群に分類し,身体機能,活動能力,精神機能を比較した。その後,有意差を認めた項目を独立変数とし,認知機能による分類を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。[結果]対照群と比較してMCI 群では,教育歴,開眼片脚立位時間および老研式活動能力指標が有意に低値を示した。さらに,認知機能に関連する因子として,教育歴と開眼片脚立位時間が選択された。[結語]軽度の認知機能を呈する高齢者では,教育歴,バランス能力および活動能力が低下していることが示された。さらに,MCI の早期発見には教育歴および開眼片足保持時間が有用かもしれない。