ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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6 巻, 2 号
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原著
  • 二階堂 素子, 安彦 鉄平, 阿波 邦彦, 足立 愛実, 井上 椋太, 山川 瑠奈, 窓場 勝之, 白岩 加代子, 堀江 淳, 村田 伸
    2016 年 6 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究の目的は,前期高齢者と後期高齢者の握力および足趾把持力が身体機能に及ぼす影響について検討することである。[対象と方法]地域在住高齢女性312名(平均年齢73.0±6.1歳)を対象に,前期高齢者と後期高齢者の2群に分類し,握力および足趾把持力が開眼片脚立ち時間,30‐second chair-stand test(CS‐30),Timedupandgotest(TUG),5 m maximum walking test(5MWT)に及ぼす影響について検討した。[結果]後期高齢者は,握力,足趾把持力,片脚立ち時間,CS‐30が前期高齢者よりも有意に低く,TUG と5MWT は有意に遅い値となった。さらに,前期および後期高齢者の身体機能に対する握力と足趾把持力の影響について重回帰分析を用いて検証した。その結果,全ての身体機能において前期高齢者では足趾把持力が,後期高齢者では握力が影響因子として抽出された。[結論]地域在住高齢女性において,前期高齢者では足趾把持力が,後期高齢者では握力が身体機能と関連しやすいことが示された。

  • 山川 瑠奈, 安彦 哲平, 大杉 紘徳, 足立 愛実, 井上 椋大, 二階堂 素子, 窓場 勝之, 阿波 邦彦, 白岩 加代子, 堀江 淳, ...
    2016 年 6 巻 2 号 p. 59-64
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    [目的]軽度の認知機能障害に該当する高齢者と認知機能の低下を認めない高齢者の身体機能,活動能力および精神機能を比較し,認知機能に及ぼす要因を検討した。[方法]地域在住高齢者335名を対象に,MMSE24‐26点の者を軽度認知機能障害群(MCI 群),27点以上の者を対照群に分類し,身体機能,活動能力,精神機能を比較した。その後,有意差を認めた項目を独立変数とし,認知機能による分類を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。[結果]対照群と比較してMCI 群では,教育歴,開眼片脚立位時間および老研式活動能力指標が有意に低値を示した。さらに,認知機能に関連する因子として,教育歴と開眼片脚立位時間が選択された。[結語]軽度の認知機能を呈する高齢者では,教育歴,バランス能力および活動能力が低下していることが示された。さらに,MCI の早期発見には教育歴および開眼片足保持時間が有用かもしれない。

  • 藤本 貴大, 田中 繁治
    2016 年 6 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    高齢女性腰椎圧迫骨折患者を対象に,腰部多裂筋(以下;LM)および脊柱起立筋(以下;ESM),大腰筋(以下;PM)の脂肪浸潤率を定量的な方法で計測し,筋肉の脂肪浸潤程度に特徴が見られるかを検討した。計測には,MRI 画像を利用した。MRI 画像は,第1腰椎から第1仙骨上縁までの椎体上縁と椎体中間位計11箇所を利用した。脂肪浸潤率は,各筋の横断面積とその面積に占める脂肪浸潤面積の比率とした。計測には,Image J1.47を利用した。結果,全11箇所のLM およびESM の脂肪浸潤率は,13.9~26.5%であった。PM は0.4~2.0%であり,LM およびESM と比較し有意に低値であった(p<0.01~0.001)。各筋の脂肪浸潤率とBMI とは,有意な相関関係は認められなかった。同一筋内全11箇所における脂肪浸潤率の多重比較では,有意差は認めなかった。また,骨折部と非骨折部に分け比較した場合の結果も有意差は認めなかった。以上のことより,本研究の高齢女性腰椎圧迫骨折患者におけるLM およびESM の脂肪浸潤率は,限局的ではなく腰椎全域で10%以上生じていることが明らかとなった。

短報
  • 相馬 正之, 村田 伸, 高口 惟, 本木 里奈
    2016 年 6 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は,最大一歩幅に影響を及ぼす要因を検証するため,若年者を対象にバランス機能や下肢筋力,柔軟性などの身体機能評価に関する検査を行い,各因子と最大一歩幅との関連を検討した。〔対象・方法〕健常女性22名とした。測定項目は,最大一歩幅,下肢筋力として股関節伸展筋力,膝関節伸展筋力,足関節底屈筋力,足趾把持力,バランス機能としてFRT,TUG,柔軟性として長座体前屈距離とした。〔結果〕重回帰分析によって最大一歩幅に影響を及ぼす因子として抽出されたのは,膝関節伸展筋力とTUG であり,大腿四頭筋筋力が強いほど,TUG 遂行時間が短いほどに最大一歩幅が大きいことが確認された。これらの知見より,最大一歩幅を増大させるためには,膝関節伸展筋力とバランス機能を高める必要性が示唆された。

  • 村田 潤, 岩永 竜一郎, 田中 律子, 原口 由里, 大山 美智江, 梅木 奈穂, 古後 晴基, 東恩納 拓也, 立石 憲治
    2016 年 6 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,重症心身障害児を対象として揺動型ベッドの心理的緊張度に対する有効性について検討することを目的として,揺動刺激時の手掌部発汗変動を調査した。研究対象は,重症心身障害を呈する児童10名であった。心理的緊張度の指標として手掌部発汗量を用いた。測定装置センサー装着後に対象児をベッドに臥床させ,コントロールデータとして静止状態の発汗量の変化を3分間記録した。次に,3分間の揺動刺激(揺動周波数0.64Hz)を与えた状態でのデータを測定し,各条件間の変化量を比較した。その結果,静止時において発汗量はほとんど変化しなかったのに対して,揺動刺激中に徐々に発汗量が減少した(p<0.05)。この研究成績は,揺動刺激が重症心身障害児の精神性発汗量を抑制する作用があることを示唆する。

活動報告
  • 古後 晴基, 満丸 望, 久保 温子, 田中 真一
    2016 年 6 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    学童期のスポーツクラブ所属の有無が体力・運動能力に及ぼす影響,および体力・運動能力の項目間の関連を検討した。児童33名を対象として,スポーツクラブに関して質問紙で調査し,体力・運動能力は9項目測定した。体力・運動能力をスポーツクラブ所属有無の2群間で比較し,体力・運動能力9項目間の相関を検証した。その結果,スポーツクラブ所属有無の2群間に有意差は認められなかった。握力・上体起こし・反復横跳び・50m 走・立ち幅跳びとソフトボール投げ間,反復横跳び・立ち幅跳びと上体起こし間,50m 走・立ち幅跳びと反復横跳び間,立ち幅跳びと50m 走間に,相関が認められた。これらのことから,学童期のスポーツクラブ所属の有無で,体力・運動能力に差が生じないことが示された。ソフトボール投げは総合的な運動能力であり,敏捷性と跳躍力を発揮するには腹筋が重要な役割を担っていることが示された。また,敏捷性のある児童はスピードや跳躍力においても高い能力を有していることが示された。

  • 萩原 崇, 堀江 淳, 北村 智哉, 下里 香織
    2016 年 6 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2016/07/29
    公開日: 2016/09/28
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,通所を利用する在宅要支援,要介護高齢者の高次生活機能と認知機能の関連を検証する事とした。【対象と方法】通所リハビリテーションを利用中の在宅要支援,要介護高齢者26名(80.5±7.0歳)を対象とした。評価項目は,高次生活機能の評価は老研式活動能力指標を実施し,認知機能の評価はMMSE,TMT-A,N-CAB,FAB,MST を実施した。【結果】老研式活動能力指標の下位尺度「IADL」とN-CAB,FAB,MST との間に相関が見られた。【結語】在宅要支援,要介護高齢者のうちIADL 能力が低い者は情報処理能力,遂行機能が低下していることが示唆された。

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