2016 年 6 巻 2 号 p. 65-71
高齢女性腰椎圧迫骨折患者を対象に,腰部多裂筋(以下;LM)および脊柱起立筋(以下;ESM),大腰筋(以下;PM)の脂肪浸潤率を定量的な方法で計測し,筋肉の脂肪浸潤程度に特徴が見られるかを検討した。計測には,MRI 画像を利用した。MRI 画像は,第1腰椎から第1仙骨上縁までの椎体上縁と椎体中間位計11箇所を利用した。脂肪浸潤率は,各筋の横断面積とその面積に占める脂肪浸潤面積の比率とした。計測には,Image J1.47を利用した。結果,全11箇所のLM およびESM の脂肪浸潤率は,13.9~26.5%であった。PM は0.4~2.0%であり,LM およびESM と比較し有意に低値であった(p<0.01~0.001)。各筋の脂肪浸潤率とBMI とは,有意な相関関係は認められなかった。同一筋内全11箇所における脂肪浸潤率の多重比較では,有意差は認めなかった。また,骨折部と非骨折部に分け比較した場合の結果も有意差は認めなかった。以上のことより,本研究の高齢女性腰椎圧迫骨折患者におけるLM およびESM の脂肪浸潤率は,限局的ではなく腰椎全域で10%以上生じていることが明らかとなった。