ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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原著
地域在住高齢者の行動変容ステージと身体機能の関係
白岩 加代子一井 佑弥村田 伸安彦 鉄平岩瀬 弘明内藤 紘一堀江 淳
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2017 年 7 巻 2 号 p. 57-62

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抄録

本研究では,地域在住高齢者を対象として身体機能の測定と運動行動の調査および生活機能について調査した。運動行動の調査結果より,「無関心・関心期」,「準備期」,「実行・維持期」の3群に分け,身体機能と生活機能の比較を行った。各群の割合は,「無関心・関心期」は16.1%,「準備期」は15.7%,「実行・維持期」は68.3%であった。「準備期」群では,「実行・維持期」群に比べ,CS‐30,TUG,5m最速歩行時間が有意に低下していた。「無関心・関心期」群では,「実行・維持期」の群と身体機能に有意な違いは認められなかった。「準備期」群に属する高齢者は,日常生活活動の中で,身体機能の衰えに対する「気づき」があり,それが行動変容の「無関心・関心期」から「準備期」へと移行したきっかけとなったのではないかと推測した。「無関心・関心期」群に属する高齢者は,身体機能の衰えを自覚していないことが,運動への動機の低さに反映し,行動変容の移行につながっていないと推測した。本研究結果より,運動行動変容のステージと身体機能は階層性が一致しないことが示唆された。

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© 2017 日本ヘルスプロモーション理学療法学会
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