ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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ISSN-L : 2186-3741
7 巻, 2 号
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原著
  • 久保 温子, 村田 伸, 満丸 望, 田中 真一
    2017 年7 巻2 号 p. 51-55
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    【目的】年長児の握力測定を実施し,握力とその他の運動能力測定値との関係から,幼児の握力測定の意義について検討することを目的とした。【対象】健常年長児408名(男児211名,女児197名)とした。【方法】身長,体重ならびに握力を測定後,文部科学省の示した幼児運動能力調査より5項目を評価し,握力との関連性を分析した。【結果】対象者の握力の平均は男児8.5±2.2?,女児8.1±2.2?であった。しかし,効果量は非常に弱かった。単相関分析の結果,男女ともに握力と身長,体重,25m走,立ち幅跳び,体支持持続時間との間に有意かつ弱い相関が認められた。また,ボール投げでは有意かつ中等度の相関が認められた。さらに重回帰分析の結果,握力に独立して関係した項目は,体重,体支持持続時間とボール投げであった。【考察】年長児の運動能力評価として握力を筋力ファクターとしてテストに加える有用性が示唆された。

  • 白岩 加代子, 一井 佑弥, 村田 伸, 安彦 鉄平, 岩瀬 弘明, 内藤 紘一, 堀江 淳
    2017 年7 巻2 号 p. 57-62
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究では,地域在住高齢者を対象として身体機能の測定と運動行動の調査および生活機能について調査した。運動行動の調査結果より,「無関心・関心期」,「準備期」,「実行・維持期」の3群に分け,身体機能と生活機能の比較を行った。各群の割合は,「無関心・関心期」は16.1%,「準備期」は15.7%,「実行・維持期」は68.3%であった。「準備期」群では,「実行・維持期」群に比べ,CS‐30,TUG,5m最速歩行時間が有意に低下していた。「無関心・関心期」群では,「実行・維持期」の群と身体機能に有意な違いは認められなかった。「準備期」群に属する高齢者は,日常生活活動の中で,身体機能の衰えに対する「気づき」があり,それが行動変容の「無関心・関心期」から「準備期」へと移行したきっかけとなったのではないかと推測した。「無関心・関心期」群に属する高齢者は,身体機能の衰えを自覚していないことが,運動への動機の低さに反映し,行動変容の移行につながっていないと推測した。本研究結果より,運動行動変容のステージと身体機能は階層性が一致しないことが示唆された。

短報
  • 岩瀬 弘明, 村上 貴士, 中井 良哉, 東 智里, 舩田 雅之, 重田 裕子, 日沖 義治, 窓場 勝之, 村田 伸
    2017 年7 巻2 号 p. 63-67
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅退院に関連する因子を明らかにすることである。研究デザインは後方視的観察研究で,2012年4月から2014年3月にA病院の回復期リハビリテーション病棟に入院していた85歳以上の大腿骨近位部骨折患者のうち,在宅あるいは施設に退院した者とした。調査項目は年齢と性別,身長,体重,術式のほか,FIM 運動項目とFIM 認知項目,MMSE,握力,同居家族の有無とした。統計解析は,退院先を目的変数としたロジスティック回帰分析を用いて検討した。解析の結果,退院先に独立して関連する因子として抽出されたのは,FIM 運動項目と同居家族の有無であった。これらのことから,大腿骨近位部骨折を呈した超高齢患者の在宅復帰を促進するためには,ADL 動作の自立度を高めるようなアプローチと住宅改修や福祉用具の導入といった環境整備が重要視されること,同居家族の有無が重要となることが示された。

活動報告
  • 森本 将司, 西原 翔太, 鍋島 健太郎, 今福 亮平, 二宮 省悟
    2017 年7 巻2 号 p. 69-72
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究は足趾把持力とBerg Balance Scale 及びFunctional Reach Test の関係性を調査した。[対象と方法]地域在住高齢者13名(男性4名,女性9名)に対し,足趾把持力,Berg Balance Scale,Functional Reach Test,身長,体重を調査し,足趾把持力とBerg Balance Scale 及びFunctional Reach Test との関係について検討した。[結果]単相関分析の結果,足趾把持力とFunctional Reach Test との間には有意な相関が認められ,足趾把持力とBerg Balance Scale との間には有意な相関が認められなかった。[結語]足趾把持力が前後動揺を制御している可能性が推測された。しかし,バランス評価であるBerg Balance Scale との関係性は示されなかった。

  • 古後 晴基, 満丸 望, 久保 温子, 岸川 由紀, 田中 真一, 大川 裕行
    2017 年7 巻2 号 p. 73-78
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    [目的]学童期のスポーツ選手における肩関節回旋可動域の特徴を明らかにすることを目的とした。[対象と方法]軟式野球もしくは剣道クラブに通うH小学校の健常学童で,少年野球選手25名と少年剣道選手17名を対象とした。質問票による調査と肩関節90° 外転位の外旋・内旋関節可動域(Range of Motion: ROM)の測定を行い,少年野球選手と少年剣道選手の比較,および利き手側と非利き手側を比較した。[結果]ROM のすべての測定項目で少年野球選手と少年剣道選手に有意差は認められなかった。また,少年野球選手と少年剣道選手共に,外旋ROM は利き手側と非利き手側に有意差が示されなかったが,内旋ROM は利き手側が非利き手側と比較して有意に低値を示した。[結語]学童期において,利き手側の肩関節内旋ROM は減少していることが示唆された。

  • 弓岡 まみ, 村田 伸, 岩瀬 弘明, 内藤 紘一, 安彦 鉄平, 白岩 加代子, 堀江淳
    2017 年7 巻2 号 p. 79-83
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究の目的は,高齢者における足部・足趾の形態および異常について調査することである。[対象と方法]地域在住高齢者217名(男性41名,女性176名,平均年齢74.2±5.6歳)を対象とした。足部形態として足幅・足長・母趾角・小趾角・開帳角を測定し,足部・足趾異常として浮き趾・外反母趾・内反小趾・扁平足・開張足の有無について調査し,男女別の比較を行った。〔結果〕足幅・足長は男性が有意に大きく,母趾角は女性で有意に大きい結果となった。足部・足趾の異常は,男女ともに浮き趾が最も多く,さらに女性では外反母趾が多い結果となった。浮き趾の有症率は,なかでも第5趾が高かったが,外反母趾を有する高齢者は第2趾の浮き趾も多いことが示された。

  • ―入院患者を対象とした検証―
    富永 章寛, 溝田 勝彦, 大田尾 浩
    2017 年7 巻2 号 p. 85-89
    発行日: 2017/07/31
    公開日: 2017/09/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,最大努力下でのFigure-of-8 Walk Test(F8Wmax)の有用性を検討することである。歩行可能な入院患者25名を対象に,F8Wmax(所要時間,歩数),Timed Up & Go Test,Functional Reach Test,Frail Chair Stand‐10,膝伸展筋力,開眼片脚立位時間,歩行速度,Life-Space Assessment,握力,Fall Risk Index,FIM-m を測定し,F8Wmax との関係について検討した。その結果,F8Wmax の所要時間と歩数はともに,TUG,FRT,FCS‐10,開眼片脚立位時間,歩行速度,LSA,FRI とのあいだに有意な相関が認められた。以上より,入院患者を対象としたF8Wmax の有用性が確認されたと考えられる。

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