2018 年 8 巻 1 号 p. 19-22
本研究の目的は,変形性膝関節症患者20名(全て女性:64.0±7.0歳)を対象に,通常歩行と最速歩行時の歩行パラメータを比較し,歩行の特徴を明らかにすることである。その結果,最速歩行時には有意(p<0.01)に速度が速まるが,その他ストライド長と歩幅は有意(p<0.01)に広がり,足角と歩行角は有意(p<0.05)に狭まった。また,立脚時間と両脚支持時間が有意(p<0.01)に短縮した。ただし,歩行速度を高めるためのパラメータの効果量を算出すると,ストライド長と歩幅は中等度(ともにΔ=0.69)であったが,立脚時間と両脚支持時間の短縮の効果(Δ=-1.62と-1.14)は大きかった。これらのことから,変形性膝関節症患者はストライド長や歩幅を広げるよりも,立脚時間や両脚支持時間を短縮させて,速く歩こうとすることが示唆された。