2018 年 8 巻 1 号 p. 29-33
【目的】目的は健常者と慢性腰痛者における腹臥位での股関節伸展運動時の筋活動量を比較することである。【対象】対象は健常成人20名と慢性腰痛者20名とした。【方法】筋活動の測定は表面筋電計を使用し,被験筋は対側の広背筋,両側の脊柱起立筋,多裂筋,同側の大殿筋,ハムストリングスとした。被験者は腹臥位となり膝を伸展位で股関節を伸展10°に保持した際の筋活動量を測定した。群間の筋活動量の比較にはMann-Whitney のU 検定を使用した。【結果】大殿筋の活動は,健常者に比較して慢性腰痛者で有意に高値を示した。他の筋については有意差を認めなかった。【考察】慢性腰痛者は股関節伸展時に健常者よりも高い大殿筋の活動を示すことが明らかとなった。この原因としては,大殿筋の筋力低下や股関節伸展側の骨盤の水平面上での腹側への回旋が生じた状態で股関節を伸展したことが要因として考えられた。