本研究は,大腿中央前面筋厚(以下,筋厚)・脂肪厚(以下,脂肪厚),大腿周径,大腿前面筋硬度(以下,筋硬度)測定の検者内・検者間再現性と膝伸展筋力との関連を検討した。対象は,健常成人20名(平均年齢:男性20.1±0.3歳,女性20.2±0.4歳)の両下肢計40脚であり,筋厚,大腿周径,筋硬度を各2回ずつ測定し級内相関係数を求め,検者内・検者間での再現性を検討した。また,膝伸展筋力と各項目との相関をPearson の積率相関係数を求めて検討した。その結果,筋厚,脂肪厚,大腿周径の再現性は,男女ともに級内相関係数が0.9以上と極めて高かったが,筋硬度は検者間で男性が0.763,女性が.787と低い値を示した。筋力との相関では,男性の大腿周径のみに有意な相関(r=0.54,p<0.05)が認められた。これらの結果から,筋硬度の測定は測定値の再現性に留意すること,また男性の大腿周径は膝伸展筋力を反映するが,女性の大腿周径の測定値は脂肪厚の影響を考慮する必要性が示唆された。